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2006.03.05

[映画]家なき天使/집없는 천사

13:00
韓国映像資料院・古典映画館
自由席 2000W
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監督:チェ・インギュ/최인규
出 演:キム・イルヘ/김일해、ムン・イェボン/문예봉、チン・フンブン/진훈분、キム・シンジェ/김신재
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 孤児のミョンジャ(キム・シンジェ)とヨンギルの姉弟は「親方」に働かされているが、ある日ヨンギルは逃げ出してしまう。浮浪児を自宅で世話していた方先生(キム・イルヘ)は、義兄(チン・フンブン)の別荘を借りて孤児院・香隣園を設立、十数人の浮浪児たちが集団生活を始める。その中にはヨンギルもいた。親方は年頃のミョンジャを売ろうとするが、親切な医者の安先生(=方先生の義兄)がミョンジャを看護婦見習いとして引き取る。方先生は園児たちにうどんを作る仕事を与えて子供たちの教育と香隣園の経営を図る。賑やかな鍾路を懐かしむ2人の子供が脱走を企て、彼らを止めようとしたヨンギルが川で溺れる。安先生が呼ばれ、ミョンジャとヨンギルは再会を果たす。親方がミョンジャとヨンギルを奪い返しに来るが、子供たちに撃退される。かつての浮浪児たちも今や立派な皇国臣民となるべく真っ直ぐな道を歩き始めた。
 巧妙に伏線が張られたプロットがいい。安先生の家の玄関から方先生の靴を盗もうとする子供。拾ったダイヤを他の子供に取られないように飲み込む子供。香隣園の薬缶を飴と取り替えてしまう子供。大雨が続いて鬱屈する子供たち、増水した川と壊れかけた橋。飴売りは子供を惑わす誘惑を、金で買ったミョンジャとヨンギルを食い物にする親方は子供の過酷な環境を象徴している。伏線とエピソードが有機的に絡み合って物語を展開させ、方先生の愛情と教育によって真っ直ぐな心を取り戻していく子供たちの様子が描かれる。
 しかし、親方を撃退した子供たちが、園の前に日の丸を揚げ「皇国臣民の誓詞」(子供バージョン?)を唱えるに到り、ここまでヒューマニズムの物語と思って見てきたものが実は天皇を頂点としたヒエラルキーの構築であったことが明らかになる。この作品では韓国語のセリフに時々日本語が混じるのだが、日本語のセリフが多い登場人物(安先生、方先生)ほど「頂点」近くに位置している。だから、子供たちは浮浪児時代にはほとんど日本語を使わず、香隣園ではカタコトの日本語を発し、ラストでは明瞭な日本語で「皇国臣民の誓詞」を唱えるのだ。この過程は、鍾路の街で喧嘩や泥棒に明け暮れ、香隣園で集団生活と労働に慣れて行き、最後には自ら「左向け左」と日本語の号令をかけてぴしっと整列するという軍隊式の秩序を披露する、という子供たちの行動様式の変化と対応している。子供たちが歩き始める「真っ直ぐな道」は皇国臣民への道でなければならないのだ。となると、飴屋と親方の意味も深読みすべきなのかもしれない。
 朝鮮半島で製作された初の文部省推薦作品。韓国語のセリフには日本語字幕が付くが、日本語のセリフには何語の字幕も付かない。松竹の配給で、ポスターに見慣れたマークがあるのが不思議な感じ。当時のソウルの街の様子が面白く、昨年復元された清渓川の昔の姿もちらっと見られる。ビールのラベルはここでも麒麟。

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