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2006年3月

2006.03.24

[映画]放課後の屋上/방과후 옥상

16:00
ソウル劇場7館
I列18番 6,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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脚本・監督:イ・ソクフン/이석훈
出 演:ポン・テギュ/봉태규、キム・テヒョン/김태현、チョン・グヨン/정구연、ハ・ソクチン/하석진
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 生まれつき運のない男、ナムグン・タル(ポン・テギュ)。姓は「ナムグン」の二字、名前は「タル」の一字だが、周囲は彼を「グンタル」と呼ぶ。イジメを受けたのが原因で新しい高校へ移ったグンタルは、転校初日、イジメ・クリニックで同期だった友人のアドバイスにうっかり従ったせいで、学校を支配する番長の怒りを買ってしまう。「放課後4時に屋上で」 絶体絶命の状況から何とか逃れようとしても、常に不運が付き纏う彼が試みる努力はすべて空しく終わる。ついに、イジメを受ける同級生たちの期待を裏切って、番長の手下になる決意をするグンタルだが……。
 「クァンシクの弟クァンテ」でクドキ上手の弟クァンテで好評だったポン・テギュが、今度は極端に運がないという点を除けば平凡な高校生役を好演。制服姿にも違和感がなく、見事にはまっている。転校初日の朝から午後4時までと時間を限定したストーリー、グンタルのすることなすことすべてが裏目に出る展開を「運のない男」という設定一つで支えるバカバカしさ、ハンサムとは言えないポン・テギュの三枚目としての演技、それぞれがうまく噛み合ったコメディ。

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[映画]女教師の隠密な魅力/여교수의 은밀한 매력

18:20
ソウル劇場8館
J列16番 6,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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脚本・監督:イ・ハ/이하
出 演:ムン・ソリ/문소리、チ・ジニ/지진희、パク・ウォンサン/박원상、ユ・スンモク/유승목、キム・ヨンホ/김영호、チョン・ウヒョク/정우혁、シン・ジュア/신주아
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 ムン・ソリがチ・ジニと共演する新作という以上に、奔放なセックスを連想させる大胆な人物構図のポスターで注目度の高かった作品。
 ウンソク(ムン・ソリ)は大学の染色科の教授であり、環境保護団体でも活躍する知性と美貌と社会的地位を兼ね備えた女性。彼女を口説く男性たちを気ままに操るウンソクの前に、彼女の過去の秘密を知るソッキュ(チ・ジニ)が現れ、彼女と男性たちとの関係が揺れ始める。
 知性と美貌と社会的地位を持った女性の淫らな私生活というのは、儒教の国・韓国と言えどもさほど新鮮な題材でなく、むしろ映画が描き出すのは大学教授やTV局プロデューサーなど知識人を気取る男性たちの側の欲望であり、これまた目新しいものではない。登場人物が皆、薄っぺらい欲望に動かされる薄汚い人間のように見え、映画自体がそのように見えて来るのが難。映像の面白さも、充実した脚本あってこそのものである。

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2006.03.23

[演劇]悲しい演劇/슬픈연극

20:00
大学路・チョンボ小劇場
自由席 18,000W(チケットリンク・パープル会員10%オフ)
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作・演出:ミン・ボクキ/민복기
出 演:パク・ウォンサン/박원상、ムン・ソリ/문소리
制作:劇団チャ/イ/ム(次元移動舞台船)
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 舞台は中年夫婦の家の居間。倦怠期とも見える夫婦の会話は、取りとめもなく他愛もない日常的で瑣末なことばかり。しかし、一方が部屋を出て行くと、一方が客席に向かって語り始める。二人の出会い、少女だった妻の美しさ、初めてのデート。男は約束の何時間も前から少女を待ち続け、少女は男の待つ音楽喫茶になかなか入れなかった初恋の思い出。夫の余命はあと半年。夫と妻はそれぞれに二人の思い出、相手への愛を客席に向かって吐露して行く。
 平凡な中年夫婦の二人の芝居と、それぞれのモノローグが交互に演じられる。それぞれの語りで二人が共に歩んできた夫婦の時間が鮮明に描き出され、それが間もなく終わろうとしていることを知ってしまった者たちの悲しみが浮かび上がる。その悲しみを、後に残さねばならない者と一人で逝かせねばならない者の悲しみと辛さと定義している脚本がいい。舞台上には、居間のテーブルとソファ、観葉植物を並べた棚があるが、中盤部でそれらの家具すべてを夫が作ったと分かるのも効果的。
 パク・ウォンサンは妻にベタ惚れの三枚目がかった夫の優しさを、その夫が「きれいだ」と賞賛する妻のムン・ソリは、きれいだが完全には垢抜けず、さばさばと素っ気無い振りの裏で夫にベタ惚れの妻の可愛らしさを見せる。舞台のできる役者はやっぱりいいなと思う。
 映画スターの共演で、客席は超満員。

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2006.03.21

[演劇]私に会いに来て/날 보러 와요

20:00
国立中央博物館 劇場 龍 / 극장 용
A列13番 30,000W
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作・演出:/김광림
出演:チェ・ヨンミン/최용민、リュ・テホ/류태호、クォン・ヘヒョ/권해효、キム・ネハ/김내하、ユ・ヨンス/유연수、チョン・ドンスク/정동숙、チン・ギョン/진경、キム・ジェボム/김재범/、イ・ヒョプ/이협、コン・サンア/공상아
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 映画「殺人の追憶」の原作の演劇。1996年から繰り返し上演されているが、今回は昨年国立中央博物館開館と共にオープンした劇場「龍」の独自企画「もう一度見たい演劇シリーズ」の第一弾として上演された。今年は上演10周年であると同時に、この演劇の素材となった実際の未解決連続殺人事件の最後の事件が時効を迎える。劇場ロビーでは時効の延長を嘆願するための署名活動が行われていた。
 客席に入って席を探すと、最前列センターでびっくり。もちろん自分で取った席だが、なぜこんな席を取ったのか、我ながら不思議。どうも、チケット予約時に「生クォン・ヘヒョが見たい!」というミーハー気分に囚われていたらしい。ちなみに、クォン・ヘヒョは「冬ソナ」のキム次長で有名だが、個人的には映画「선물」(邦題「ラスト・プレゼント」)のブルースブラザーズを彷彿とさせる人のいい詐欺師が好き。
 さて、プロローグは、半身不随の捜査班長と女性新聞記者の写真撮影風景。そこに、背景スクリーンに映る殺人犯のシルエットと被害者の悲鳴が重なる。舞台は警察の捜査本部。芝居は、刑事たちの捜査と被疑者の取り調べを交互に見せながら進行する。映画と異なり空間的自由が制限される演劇の舞台だが、その閉塞感が犯人にたどり着けない刑事たちの焦りやストレスを強く感じさせて効果的。と言っても、芝居はむしろキム刑事(クォン・ヘヒョ)と喫茶店の出前娘(コン・サンア)のラブストーリーなど、笑いを巻き起こしながら進んでいく。この素材でこんなに笑わせてよいのかと思うほど。今回の公演、主要な登場人物は初演時の俳優が集まっており、芝居の安定感は言うことなし。映画にも出演しているリュ・テホが、複数の容疑者を一人で演じる趣向はやはり面白く、見ごたえがある。
 最後の容疑者の容疑がDNA鑑定で否定され、捜査は白紙に戻り、捜査班長は過労で倒れる。エピローグはプロローグの続きで、犯人のシルエットが闇を跋扈する。映画では、パク・ヘイル演じる最後の容疑者に疑いを残す余韻があったが、演劇は今なおどこかにいる犯人を暗示しつつ重苦しく幕を閉じる。
 クォン・ヘヒョはテレビより映画、映画より演劇でもっと見たい。

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2006.03.17

[演劇]ビューティフル・サンデイ/뷰티풀 선데이

20:00
大学路・漢陽レパートリーシアター
B列5番 招待券
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製作総監督:チェ・ヒョンイン/최형인
演出:キム・ボヨン/김보영
原作:中谷まゆみ
出演:イ・ジュナ/이주나、チョン・ジョンフン/전정훈、チョン・ウォンジョ/정원조
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 日本の「ビューティフル・サンデイ」のプロデューサー、演出家、出演者、それに劇場関係者が来韓。揃って観劇する。
 ウヌ役のイ・ジュナの演技力が抜群。可愛くて可笑しくて魅力的。演技をしていて、必要な時にすっと力を抜くことができるのが上手い。劇中の設定は35歳だが、終演後、彼女の実年齢が満25歳と聞いて、皆びっくりさせられる。
 3人とも初日より芝居が安定して、人物の輪郭がくっきり見えている。演技に集中しているのがよく分かり、結末まで一気に運んだ2時間だった。
 6人を2チームに分けてのダブルキャストと思っていたら、フレキシブルな8チームのキャストで公演を続けて行くと言う。7月頃まで延長公演するつもり、とも。専用劇場を持つ恵まれた条件の劇団とはいえ、芝居制作の環境や姿勢について考えさせられる。

★公演情報はHP「ななの本棚」内に掲載中。
「漢陽レパートリー『ビューティフル・サンデイ』」

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2006.03.11

[ミュージカル]洗濯/빨래

15:00
大学路・サンミョンアートホール1館
D列3番 30,000W
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作・演出:チュ・ミンジュ/추민주
作曲:ミン・チャノン/민찬홍、シン・ギョンミ/신경미、ハン・チョンリム/한정림
出演:キム・ヨンオク/김영옥、イム・ジウン/임진웅、パク・ウニョン/박은영、オ・ミヨン/오미영、チェ・ジニョン/최진영、パク・ソンイル/박성일、キム・ジュンギ/김중기、ペク・ミラ/백미라
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 「路地路地ミュージカル」と銘打たれた小劇場ミュージカル。ソウルの路地裏の平屋アパートに住む、地方出身のOL、夫をとっかえひっかえ暮らすたくましいアジュンマ、障害者の娘を抱えた家主のおばあさん、モンゴルから来た外国人労働者の日常生活の哀歓を描く。

 書店に勤務するナヨン(キム・ヨンオク)はソウル生活5年、何度目かの引越しで裏路地の部屋に引っ越してくる。ある日、洗濯物を干しに屋上へ上がり、ソウルへ出稼ぎに来ているモンゴル人青年ソルロンゴ(イム・ジウン)に出会う。二人は次第に惹かれ合って行くが、大都市の生活は外国人労働者のソルロンゴにも、一介のOLのナヨンにも厳しい。それでも裏路地の人々は、洗濯をして、昨日を消し去り、今日のほこりを落とし、明日にアイロンをかけて生きる。

 脚本はもちろん劇中のナンバーもすべて作詞・作曲した創作ミュージカル。2005年韓国ミュージカル大賞で「作詞賞」「脚本賞」を受賞している。
 8人の俳優が3~6役(主役2人は1役のみ)を演じる。舞台はソウル路地裏の長屋風アパートとナヨンが勤務する第一書店の店内の2場面。ぴかぴかの書店店内と対照的なうらぶれた路地裏では、下手に階段と屋上、上手にも屋上と外界へ通じる階段、中央にアパートの部屋のドアが並び、大道具を動かしてその時々で大家の家、スーパー、ナヨンの部屋を作り出す。言わば、「地下鉄1号線」タイプのミュージカル。韓国はこの手の大道具の経費がかなり安く上がるのではないかと思う。

 ナヨン役のキム・ヨンオクは透明感ある容貌と声が純粋で温かい心の持ち主という役柄にはまり、誠実で素朴な雰囲気を醸し出すソルロンゴ役のイム・ジウンとのラブストーリーも微笑ましい。アパート大家のおばあさんと書店のベテラン職員の2役を演じたパク・ウニョン、どちらも見事な演技で、同一人物が演じていることに最後まで気づかなかった。

 内容・スタイル共に、ロングランを続ける「地下鉄1号線」がもたらした大学路・小劇場ミュージカルの成果の一つと言える。

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2006.03.05

[映画]家なき天使/집없는 천사

13:00
韓国映像資料院・古典映画館
自由席 2000W
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監督:チェ・インギュ/최인규
出 演:キム・イルヘ/김일해、ムン・イェボン/문예봉、チン・フンブン/진훈분、キム・シンジェ/김신재
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 孤児のミョンジャ(キム・シンジェ)とヨンギルの姉弟は「親方」に働かされているが、ある日ヨンギルは逃げ出してしまう。浮浪児を自宅で世話していた方先生(キム・イルヘ)は、義兄(チン・フンブン)の別荘を借りて孤児院・香隣園を設立、十数人の浮浪児たちが集団生活を始める。その中にはヨンギルもいた。親方は年頃のミョンジャを売ろうとするが、親切な医者の安先生(=方先生の義兄)がミョンジャを看護婦見習いとして引き取る。方先生は園児たちにうどんを作る仕事を与えて子供たちの教育と香隣園の経営を図る。賑やかな鍾路を懐かしむ2人の子供が脱走を企て、彼らを止めようとしたヨンギルが川で溺れる。安先生が呼ばれ、ミョンジャとヨンギルは再会を果たす。親方がミョンジャとヨンギルを奪い返しに来るが、子供たちに撃退される。かつての浮浪児たちも今や立派な皇国臣民となるべく真っ直ぐな道を歩き始めた。
 巧妙に伏線が張られたプロットがいい。安先生の家の玄関から方先生の靴を盗もうとする子供。拾ったダイヤを他の子供に取られないように飲み込む子供。香隣園の薬缶を飴と取り替えてしまう子供。大雨が続いて鬱屈する子供たち、増水した川と壊れかけた橋。飴売りは子供を惑わす誘惑を、金で買ったミョンジャとヨンギルを食い物にする親方は子供の過酷な環境を象徴している。伏線とエピソードが有機的に絡み合って物語を展開させ、方先生の愛情と教育によって真っ直ぐな心を取り戻していく子供たちの様子が描かれる。
 しかし、親方を撃退した子供たちが、園の前に日の丸を揚げ「皇国臣民の誓詞」(子供バージョン?)を唱えるに到り、ここまでヒューマニズムの物語と思って見てきたものが実は天皇を頂点としたヒエラルキーの構築であったことが明らかになる。この作品では韓国語のセリフに時々日本語が混じるのだが、日本語のセリフが多い登場人物(安先生、方先生)ほど「頂点」近くに位置している。だから、子供たちは浮浪児時代にはほとんど日本語を使わず、香隣園ではカタコトの日本語を発し、ラストでは明瞭な日本語で「皇国臣民の誓詞」を唱えるのだ。この過程は、鍾路の街で喧嘩や泥棒に明け暮れ、香隣園で集団生活と労働に慣れて行き、最後には自ら「左向け左」と日本語の号令をかけてぴしっと整列するという軍隊式の秩序を披露する、という子供たちの行動様式の変化と対応している。子供たちが歩き始める「真っ直ぐな道」は皇国臣民への道でなければならないのだ。となると、飴屋と親方の意味も深読みすべきなのかもしれない。
 朝鮮半島で製作された初の文部省推薦作品。韓国語のセリフには日本語字幕が付くが、日本語のセリフには何語の字幕も付かない。松竹の配給で、ポスターに見慣れたマークがあるのが不思議な感じ。当時のソウルの街の様子が面白く、昨年復元された清渓川の昔の姿もちらっと見られる。ビールのラベルはここでも麒麟。

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[映画]半島之春/반도의 봄

15:30
韓国映像資料院・古典映画館
自由席 2000W
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監督:イ・ビョンイル/이병일
出 演:キム・イルヘ/김일해、キム・ソヨン/김소영、ポク・ヘスク/복혜숙
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 東亜映画社の文芸部に勤めるイ・ヨンイル(キム・イルヘ)は友人の妹チョンヒ(キム・ソヨン)をレコード会社に紹介する。二人はいつしか惹かれあうようになる。東亜映画はヨンイル原作の「春香伝」を製作中だが、主演女優のアンナが役を降りてしまう。監督のホフンとヨンイルは代役にチョンヒを立て、チョンヒは素晴らしい才能を発揮するが、制作費が不足して撮影は行き詰まる。チョンヒは自分に目をかけてくれる部長に借金を申し込むが、結婚の交換条件を拒絶して席を立つ。ヨンイルは会社の金を製作費に回し、横領罪で拘束される。ヨンイルを愛するアンナは会社の金を弁済し、身体を壊したヨンイルの看病にいそしむ。「春香伝」はヨンイルが行方不明のまま製作が続けられる。その間に大資本が映画業界に参入し、東亜映画社も半島映画社という大会社に吸収されて資金不足は解消する。半島映画社第一回作品「春香伝」封切の日、ヨンイルがアンナと共に姿を現し、ショックを受けたチョンヒは倒れてしまう。アンナはヨンイルとチョンヒのために身を引く決意をする。後日、ヨンイルとチョンヒは映画産業視察のため東京へ旅立つ。
 情熱をもって映画を作り続けるヨンイルたちを部長は「水呑み芸術家」と皮肉るが、その部長とて経営基盤の不安定な映画会社の一員でしかない。映画業界の経済を安定させるのは資本主義の発展である。ラストシーンはヨンイルとチョンヒを見送る映画監督ホフンのバストアップで終わり、この作品が映画人の志を軸としていることが見て取れる。
 韓国語と日本語のセリフが半々。スクリーンの右には本来の日本語字幕、下には最近つけたと思しき韓国語字幕が出る。2つの言語の使い分けの基準が判断しにくいのだが、登場人物が自らの心情を語る時、登場人物が自分の地位や立場を強調する時、登場人物がカッコつけようとする時、登場人物が何となく使いたくなった時、に日本語が使われているようだ。
 劇中、「春香伝」の撮影シーンが見られて面白い。封切の日の映画館には「芸道一代記」「ロビンソンクルーソー漂流記」「李香蘭と???」という宣伝用垂れ幕がかかっていた。「芸道一代記」は溝口健二監督作品が1941年でどんぴしゃ。ロビンソン・クルーソーの話は度々映画化されていて、近いところでは1940年「新ロビンソン漂流記」(米)というのがあるらしい。戦時下アメリカ映画の上映が禁止されるのは真珠湾攻撃の翌日41年12月9日のこと。最後の「李香蘭」云々は不明。映画ではないのかもれない。ちなみに、会場の日劇を七回り半の観客が取り巻いたという伝説の「歌ふ李香蘭」公演が行われたのがこの年の紀元節。
 ビールは「麒麟」、タバコは「みどり」。

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2006.03.04

[映画]迷夢/미몽

15:30
韓国映像資料院・古典映画館
自由席 2000W
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監督:ヤン・ジュナム/양주남
出 演:ムン・イェボン/문예봉、チョ・テグォン/조택원、キム・インギュ/김인규
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 韓国映像資料院が進めている過去の韓国映画フィルムの探索事業により、2005年末中国で新しく3編のフィルムが発見された。その中の1編、この「미몽(迷夢)」は1936年の製作で、現存する最古の韓国映画である。そこで、<最古の韓国映画「迷夢」発掘公開展>と銘打ち、今回発見されたフィルム3編と2004年に発見された4編を上映する特別企画展が催されることになった。発掘した貴重なフィルムをこんなふうにすぐに、しかもタダみたいな料金で公開上映するところが韓国の良い所だ。
 古いフィルムで映像も音も状態が良いとは思えず、セリフが聞き取れるか、ストーリーが理解できるか心配していたのだが、1936年作品には日本語字幕がついていた。ついでに言えば、主人公が買った娘の服は「30円」で、男と飲むビールのラベルには「麒麟」の絵があった。当時の様子が窺えるのが嬉しく、かつ心が痛む。
 映画は夫婦喧嘩の場面で始まる。妻が毎日出歩いてばかりいるのが夫は気に入らない。ある日、妻は自分のバッグを拾ってくれた男と飲みに行く。実は妻の美しさに目をつけた男がバッグを掠め取って親切を装ったのだが。酔って帰った妻に夫は離縁を宣告し、妻は夫と娘を捨ててホテルの豪奢な部屋で暮らす男の元に走る。二人は優雅な甘い生活を楽しむが、男が実は洗濯屋に下宿する文無しで、金のために強盗を働いたことに気づいた女は、男を警察に通報してホテルを去る。女は釜山行きの汽車に乗るためタクシーを急がせ、スピードを上げたタクシーは女学生を轢いてしまう。轢かれたのは女の娘だった。病院で娘は命を取り留め、娘に付き添っていた女は服毒自殺を図る。夫が拳銃を片手に病室へ駆け込んで来た時、妻はすでに死を迎えていた。
 ネット上で「미몽」というハングルのタイトルを見た時、漢字表記の見当が全くつかなかった(したがってタイトルの意味も全く分からなかった)のだが、「迷夢」となれば道を外れて迷いながら夢の中のように人生を漂う主人公の行動を表しているのだろう。
 47分という短い映像で、何度か映像が途切れて場面が飛ぶ箇所もあり、ストーリーや人間関係の詳細が完全には分からない。夫婦仲が悪いのは妻の奔放な性格のためらしく、妻は毎日高い洋服を買い漁り、初対面の見知らぬ男と二人で酒を飲みに行ったり、半裸で舞台に立つ前衛的な男性舞踊家に近づこうとしたりするエピソードが描かれる。その一方で、夫婦の家の軒には鳥籠がぶらさがり、これはやはり「籠の鳥」の象徴なのだろう。所々に面白い映像が見られる。妻が化粧をする鏡台の鏡に夫の顔が映っている構図から、妻が鏡を回転させて夫の顔を消してしまう。妻・夫・娘の顔が縦に斜めに並ぶ構図では、一番手前の妻が最も大きく、ピントも妻に合っている。伝統的な朝鮮の住宅の夫婦の家と、天蓋付きベッドに洒落たテーブルとイスが備えられた西洋風で豪華なホテルの部屋の対照。ソウル駅で汽車に間に合わず竜山駅までタクシーを走らせる場面では、汽車とタクシーが並行して競走しているかの如く見せつつ、主人公を破滅へと導く。
 音楽はすべて洋楽(ジャズ?とクラシック)で、意外に明るく軽快な印象を受ける。
 ちなみに、1936年製作の日本映画を調べてみたら、溝口健二「祇園の姉妹」とか岡田敬「エノケンの江戸っ子三太」とかマキノ正博「忠烈肉弾三勇士」とかがあった。

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2006.03.02

[演劇]ビューティフル・サンデイ/뷰티풀 선데이

20:00
大学路・漢陽レパートリーシアター
F列9番 12500W(初期前売50%割引)
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製作総監督:チェ・ヒョンイン/최형인
演出:キム・ボヨン/김보영
原作:中谷まゆみ
出 演:イ・ジュナ/이주나、チョン・ジョンフン/전정훈、チョン・ウォンジョ/정원조
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 中谷まゆみの脚本「ビューティフル・サンデイ」(2000年初演、板垣恭一演出、サードステージ・プロデュース)を韓国語に翻訳しての上演。私が劇団に紹介して上演にこぎつけた作品だったりするため、ドキドキで初日に駆けつけた。
 同性愛カップルのチョンジン(チョン・ジョンフン)とジュンソク(チョン・ウォンジョ)の同居3周年記念日に、二人の住む部屋の前住者ウヌ(イ・ジュナ)が酒に酔ってうっかり入り込んで来てしまう。この部屋から見える家の主人との不倫の傷が癒えないウヌ、売れない絵を描きながらチョンジンの稼ぎで暮らすエイズ患者のジュンソク、母のため田舎で見合いをして家を建てる計画を持つチョンジン。3人はそれぞれ隠していた自分の想いをさらけ出し、互いを理解するようになる。
 原作の設定を日本から韓国に変えてはあるが、ストーリーと台詞はほぼ原作通り。イ・ジュナが悪意のないとぼけた侵入者を巧みに演じ、事ある度にドタバタ慌しく動き回るチョンジン、華奢で人懐っこいチョン・ウォンジョと3人のアンサンブルもよい。
 小さなボックスを積み重ね、丁寧に可愛らしく無雑作っぽく作りこんだ大道具・小道具が作品世界をよく象徴している。原作で歌うユーミンの代わりに挿入したインディーズのフィドルバンビ「バナナ牛乳」の替え歌がめちゃ受け。演出・演技・舞台・音楽、原作に忠実なのに韓国らしいアクの強さが面白い。
 日程未定ながらダブルキャスティングが予定されており、別チームも楽しみ。

★公演情報はHP「ななの本棚」内に掲載中。
「漢陽レパートリー『ビューティフル・サンデイ』」

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