« [歌舞伎]元禄忠臣蔵 昼の部 | トップページ | 「こうもり」の有害ポスター »

2009.03.16

[歌舞伎]元禄忠臣蔵 夜の部

 3月の歌舞伎界、歌舞伎が掛ってる劇場は3座のみ。しかも、歌舞伎座は昼夜通しで真山青果作『元禄忠臣蔵』。この芝居、邦楽がほとんど入りません。
 今月、長唄の某お社中はワークシェアリングしてるらしいです。さすが、時流を先取り、傾いてます。(「傾」は「かぶく」です。「かたむく」じゃありません。)


3月9日(月)16時30分
歌舞伎座
3階2列17番

「南部坂雪の別れ」「仙石屋敷」「大石最後の一日」で、それぞれ団十郎、仁左衛門、幸四郎の三人が内蔵助を勤めています。これがそれぞれによくて、見ごたえありました。

「南部坂雪の別れ」
 団十郎は、仇討の本心を胸に秘めてじっと耐え忍ぶ内蔵助。品格ある芝翫の瑤泉院とのバランスも良かったです。我当の羽倉斎宮が小憎らしいのも効いてました。

「仙石屋敷」
 仁左衛門は、セリフのうまさで内蔵助の人となりを描き出します。昼の部「御浜御殿」もそうですが、ひたすらセリフの応酬が続く場面で長ゼリフを面白く聞かせ、その人物像を描き切る芸は、仁左衛門が今一番でしょう。この場、セリフのない諸士は1時間ずっと座ってるだけ。辛そうです。
 梅玉の伯耆守、内蔵助と諸士たちに討入の様子を根掘り葉掘り尋ねても、くどくもなく嫌味もなく、この人の持ち味がよく出てました。

「大石最後の一日」
 幸四郎は、昼の部「大評定」とはうってかわって、落ち着いた芝居。この場は、死を前に浮足立ちかねない諸士を抑え、おみの(福助)と磯貝十郎左衛門(染五郎)の恋の結末をつける役回りですから、自分を客観的な立場に置いてないといけないわけですが。最後の「初一念が届きました」のセリフ、自分が感動したがる幸四郎には向いてないです。
 おみのの福助は薹の立った娘でしたが、一途な想いはよく伝わりました。
 大石主税の巳之助、立ち振る舞いがきれい。歌舞伎役者らしくなってきました。


 昼に続いて、「南部坂雪の別れ」「仙石屋敷」「大石最後の一日」とすべての場でお客さんのすすり泣きが……。実際、どの場も役者が丁寧に演じていたと思います。特に内蔵助は幸四郎・仁左衛門・団十郎の競演ですから、それぞれに力が入っていたのでしょう。

 2006年10月~12月に国立劇場で『元禄忠臣蔵』全10編が上演されました。残念ながら、韓国在住時のことで、私は見られませんでした。
 今回の通しを見て、思っている以上に面白い芝居だと思いました。ドラマの力は「仮名手本」の上を行ってます。
 歌舞伎座さよなら公演にふさわしい舞台でした。

|

« [歌舞伎]元禄忠臣蔵 昼の部 | トップページ | 「こうもり」の有害ポスター »

伝統芸能」カテゴリの記事

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92545/44371228

この記事へのトラックバック一覧です: [歌舞伎]元禄忠臣蔵 夜の部:

« [歌舞伎]元禄忠臣蔵 昼の部 | トップページ | 「こうもり」の有害ポスター »