[歌舞伎]五月歌舞伎座 夜の部
歌舞伎座さよなら公演、昨年、一般観客から演目リクエストを受け付けてました。
今月の夜の部、「恋湊博多諷」はともかく、あとの三つはリクエスト上位100にも入ってないのでは……という作品です。現代の観客が見たがる作品ばかりをやればいいとは決して思ってませんが、それにしても、さよなら公演でなぜこの演目?という謎が残って、気になります。「神田ばやし」なんて初見。39年ぶりだとか。
建替え前の今やっておこう演目の蔵出し・虫干しなんでしょうか。
2009年5月12日(火)16時30分
歌舞伎座
3階2列19番
「恋湊博多諷」毛剃
今月、昼の部最初の演目は海老蔵の「暫」。これと対にするかのように、夜の部最初は団十郎の「潮見の見得」。内面の充実が感じられて結構でした。
団十郎の毛剃のセリフは、ひどく聞き取りにくい。博多訛りのつもりなのか、当人の口跡のクセなのか、判別不能。きっと両方が入り混じってるのでしょう。
藤十郎の宗七は、芝居は上手いのですが、小女郎が惚れた男に見えないのが残念。
その小女郎の菊之助、見た目の美しさに加えて、女形の貫禄が出てきて、異国情緒あふれる博多の傾城という役にうまくはまってます。立女形としての将来が楽しみ。
「夕立」
ストーカーにレイプされた被害者が加害者にぽーっとなって駆け落ち志願しちゃう話。要約すると身も蓋もないですねぇ。
加害者・七之助が菊五郎だから成り立つ舞台。激しい雷に気を失った滝川を見て「いい女だなぁ」とつぶやく一言といい、コトが済んで茶店から出てくる時の態度といい、ふてぶてしい風情に漂う色気につい見とれてしまいます。
被害者・滝川の時蔵は何をどう感じてるのか見えにくい。だから芝居が成り立ってるのかも。
「神田ばやし」
宇野信夫作の書きもの。要領悪くてハッキリしない若者・留吉を海老蔵が演じるのがミソ。海老蔵が自分の不器用さをそのまま投げ出したような芝居してます。ヘンに小細工してないのがいいところ。うっかりすると「キモい」の一言で片付けられちゃうような役なので。
大家の三津五郎、達者です。舞台を締めてます。この人がこういう役に収まっちゃうのはまだ早いという気がしますけど。
市蔵のおらく、最初は市蔵と分かりませんでした。こんな役が回るとはねぇ。滑稽なドタバタを下卑ないギリギリの線で演じる上手さ。
梅枝は見る度に「娘っぷり」が上がっていて、世話の娘は何でも行けそう。今の内にどんどんやっておいてほしいです。
「鴛鴦襖恋睦」
菊之助・海老蔵・松緑というかつての三之助による舞踊。この手の時代物の舞踊は、松緑、いいですぇ。古風な趣があって。化粧がもう少しうまくなるとよいのですが。
若手三人の舞台で、華やかさと清々しさがあって、目を楽しませてくれる舞台。但し、こっくりとした面白みには欠けます。本来はそういう踊りだと思うのですが。10年後、20年後、30年後、またこの三人で踊る舞台が楽しみです。
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