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2009.08.25

日本が映画主義の国だったら?

 ジェフリー・アーチャー『めざせダウニング街10番地』を読み終えて、今度はこんな本に手を伸ばしてます。やはり衆院選前ってことで読みたくなった本です。
 投票は期日前投票でもう済ませちゃったので、これを読んで投票先を決める訳ではないのですけれど。

Bigeiko

 ↑amazon から借りてきました。

 筒井康隆の『美藝公』。20年振りでの再々読になります。
 絶版になってる本なので、知らない人もいるかも。

 戦後の日本が映画立国として発展した、という架空の設定で、日本社会を描いてみせた小説です。
 この小説の中の日本は映画産業立国であり、国の最重要テーマは政治・経済でなく、映画を中心とした文化・芸能です。最高の美貌と演技力を兼ね備えた俳優「美藝公」は、象徴的存在として国の頂点に立って国民の尊敬を一身に集め、映画製作に携わる俳優、脚本家、監督、製作スタッフたちは若者の憧れの的。彼らが製作する映画は社会全体に極めて大きな影響力を持ち、政府は政治・経済・社会・文化すべての面で映画と歩調を合わせた政策をとっています。
 「映画」が社会の基本原理となっている、「映画主義」とでも呼ぶべき社会です。

 物語の後半に、主人公の脚本家と映画人たちが、「もし日本が今のような映画立国でなく、経済優先の社会になっていたら」という思いつきから、「消費社会・大衆化社会・情報化社会・平等主義」に至った「悪夢のような社会」を想像する件があります。

 自分の生きる社会の枠組が絶対的なものであるとは限らず、自分の生きる社会は自分たちの価値観が形作っているという、日常生活の中でつい忘れてしまいがちな視点を掘り起こしてくれる作品です。

 ……なんて書くと小難しそうですが、パラレルワールドを描くSFのようなエンタメ小説です。初めて読んだ時には、面白くて一気に読み切ってしまいたい気持ちと、細部の趣向を味わいながらじっくり読みたい気持ちと、相半ばして妙な焦燥感に駆られつつ読んだ覚えがあります。
 主人公の口を借りて、筒井康隆が演技論・役者論を語っている場面もあり、映画・演劇ファンには特にお勧めです。


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