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2009.10.22

[文楽]九月公演 第三部

 9月の文楽東京公演第三部は、シェイクスピア作「テンペスト」を翻案した「天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)」。8月の大阪に引き続き、東京でも上演。千秋楽に見物しました。


2009年9月23日(水・祝)18時30分
国立小劇場
7列18番

シェイクスピア=作「テンペスト(あらし)」より
山田庄一=脚本・演出
鶴澤清治=作曲
「天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)」

 全体としてかなり面白く仕上がってると改めて感じました。
 大阪公演の感想 でも書いてますが、三業に実力派の若手・中堅が揃って、義太夫節・文楽の舞台になってたというのが大きいです。

 全一幕・七場、2時間の作品をノンストップでの上演。大阪でタイムテーブルを見た時は驚きました。でも、実際見てみると、この作品、途中で休憩を入れたらその時点では、「はぁ?」「何これ?」的な感想が続出するのが目に見えてるのですね。ノンストップで最後まで一気に見せ、終演後に「結構面白かったじゃない」「シェイクスピアだものね」と納得の感想を引き出す作戦、功を奏してたと思います。

 大領の悪巧みで国を追われた阿蘇左衛門が、南海の孤島に籠って妖術を習得、嵐を起こして大領の乗る船を難破させ、大領への復讐を図ろうとする、という設定が一番ワクワクするのは、原作がそうなのだから仕方ないですね。
 この設定から翻案物にして、菊五郎劇団の歌舞伎で見てみたいです。「十二夜」に続いて「テンペスト」、ぜひお願いします。

 大阪でも東京でも、幕切れ、阿蘇左衛門が客席へ向けて語りかけるのが新鮮でした。シェイクスピアでは「夏の夜の夢」、歌舞伎では「毛抜」などに見られる演出ですが、文楽では極めて異例。
 文楽の時代物のストーリーは、歴史の中から立ち上がり、最後に再び歴史の中におさまってゆくという構造を持っていて、作中人物が現在(=上演時)の観客と交流するようにできてないのですよね。シェイクスピア作品だから可能だった大胆な試みでした。

 空飛ぶ英理彦、原始人的な泥亀丸、なぜかペリカン系の妖精 などファンタジー部分の人形の演出は、意外に違和感ありませんでした。大阪では、夏休み公演の子供向け文楽でお伽話風のものをいろいろ出してますしね。
 大阪の英理彦は、東京より怪しくて、バンバン空を飛んでました。ファンタジー部分は東京の方が控えめだったような。大阪と東京は、舞台空間の大きさも違うし、お客さんの嗜好も異なりますから、それぞれに合わせたのでしょう。

 ちなみに、大阪と東京の文楽の舞台の広さは、日本芸術文化振興会のサイト によれば、次の通りです。数字で見ると、やっぱり大阪広いんですねぇ。

◇大阪・国立文楽劇場
 間口 17.5m(9間4尺)
 高さ  6m(3間2尺)
 奥行 18.5m(10間1尺)

◇東京・国立小劇場
 間口 13.6m(7間2尺)
 高さ  5.5m(3間)
 奥行 19.25m(10間3尺)

 大阪でも東京でも予想以上に面白かった文楽版「テンペスト」、10年後ぐらいにまた上演してほしいなぁと思ってます。

☆関連記事
 [文楽]夏休み特別公演 第三部

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