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2010.02.11

[文楽]二月公演 第三部

 今月の文楽公演プログラム巻頭に、歌舞伎役者・片岡仁左衛門の「文楽と私」という文章(聞き手・宮辻政夫)が載ってます。吉田簑助の文化功労者顕彰記念企画で、簑助が倒れた日の話から始まり、昔のことなども語ってます。見開き2頁、興味深い話が盛りだくさんでお勧めです。

 簑助が倒れた平成10年11月2日、私は国立文楽劇場の客席にいました。劇場で会った友達と「仁左衛門さんが来てる!」と大ハシャギしたことも、九段目のお石を遣った簑太郎(現・勘十郎)の硬くこわばった表情も、「何で?何で?何で?」と簑太郎の顔だけを見つめていたあの時の自分の心情も、昨日のことのように思い出せます。


2月6日(土)18時30分
国立小劇場
13列18番

『曽根崎心中』
「生玉社前の段」
 マクラ一枚、丁寧に語るのが肝要……のはずですが。

「天満屋の段」
 嶋大夫の切場、大変面白かったです。住大夫・燕三(先代)で何度も聴いている「天満屋」が、嶋大夫・清友だと全然違いました。語りが力強く、のっぴきならず死に向かっていく二人なのに、お初・徳兵衛に勢いがある不思議。住大夫・燕三の床は、二人がもっと哀れで繊細だった印象が強いのです。それに比べると、生命力すら感じられるお初徳兵衛でした。それが面白かった。
 今回の簑助のお初は振りが大きく派手。身体をよじり、人間には無理な姿勢にまで崩れた形は、人形ならではのお初です。勘十郎が遣う床下の徳兵衛、リアルで、生きている人間のようでした。
 人形以外の何者でもないお初と、人間のようにリアルな徳兵衛と、嶋大夫の勢いのある語りとが、不思議に魅力的な舞台を作り上げていて、すっかり見飽き聞き飽きてるはずの「天満屋」が新鮮でした。

「天神森の段」
 この段に限らず、今回の簑助のお初は首が上向きがちなのが気になりませんでした。舞台復帰以後ずっと気になっていた点なのですが。
 お初は相手を見上げる姿勢の多い役だからなのか(でも、これまでのお初では気になっていた)、簑助の派手な遣い方のせいなのか、うなずきの糸を遣う力が強くなったのか。
 理由はさておき、簔助は、倒れる以前とも復帰以後これまでとも違う、新たな女形の表現を手に入れつつあるのかもしれないと感じた舞台でした。
 幕切、刀で突く前に、徳兵衛は正面を向き、お初は徳兵衛と向き合う形で客席に背を向けます。その時、簔助はお初の人形を余分に振り返らせて、客席にはっきりお初の顔を見せ、それから顔を戻して徳兵衛と向き合わせていました。前からこういう振りでしたっけ?

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コメント

ももんがさん

 簔助さんがご病気になる前ですね。羨ましい。(^-^*)

 今月は三部制で時間短め、第三部なんて18時半開演、20時半終演ですから、ちょこっと観に行くにはよいチャンスかもしれません。

 『ジークフリート』、6時間ですか~。劇場の椅子に座ってるのも、体力要りますよね。

 私は今、来月、彩の国さいたま芸術劇場の『ヘンリー六世』、観に行こうかどうしようか迷ってます。休憩除いた上演時間が6時間(予定)、劇場は遠い……。(^-^;

投稿: なな(管理人加藤) | 2010.02.11 23:10

もう15年ぐらい前になってしまうでしょうか、、
一度だけ人形浄瑠璃を見に行ったことがあります。友人が通っていたイタリア語のクラスに、吉田簑助さんと懇意にされている方がいらして、友人と行った私も一緒に楽屋へ連れていってくださって、短い時間でしたが吉田簑助さんから人形の動かし方のご講義をしていただきました。
なんだかとても懐かしいです。
その時からかなりの時が経ってしまいましたが、
ななさんのブログにおじゃまするようになって、また見に行ってみたいと思いました。
今日はオペラ「ジークフリート」を見てきましたが、45分の休憩を2回挟んで14時から始まり終わったのが20時、現代的な演出が面白かったですが、
かなり疲れました。

投稿: ももんが | 2010.02.11 22:12

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