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2010.08.16

[記事]『西便制』、映画vsミュージカル

 このブログで何度か取り上げているミュージカル『西便制(ソピョンジェ)』。この14日に初日の幕が開きました。以前の記事では、一体どんな舞台になるのか、やや心配でもあったのですけれど、興味深い作品に仕上がっているようです。

 元の映画『風の丘を越えて-西便制-』のファンは日本にも大勢いると思います。
 繰り返しますが、映画『風の丘を越えて』は超オススメ作品です。ご覧になっていない方はぜひ。


映画『ソピョンジェ』vsミュージカル『ソピョンジェ』、何が違うか?
 New Stage 2010.08.16

 ベールに包まれていたミュージカル『ソピョンジェ(서편제)』が開幕した後、映画『ソピョンジェ』との比較点を探す観客が増えている。韓国人特有の情緒をとろかした珠玉のような文で人々の琴線を震わせた故イ・チョンジュン(이청준)作家の代表作を原作とし、我々の誇りとなった映画『ソピョンジェ』と、どのように違うのか、じっくり見てみるのもミュージカル『ソピョンジェ』の鑑賞ポイントの一つになるためだ。映画『ソピョンジェ』は、1993年公開され、大鐘賞、百想芸術大賞など主要映画祭の作品賞を次々と受賞し、国内最初に100万人観客を突破した不朽の名作だ。公演を見る前に、知っておけば感動が2倍になる映画『ソピョンジェ』とミュージカル『ソピョンジェ』を比較してみよう。

・ ハン(恨) vs アイデンティティ探し、そして芸術家の肖像

 映画『ソピョンジェ』が古典にのみとどまったパンソリのイメージをソピョンジェの悲しい曲調と人生を結びつけ、我が民族の普遍的情緒であるハン(恨)に焦点を当てたとすれば、ミュージカル『ソピョンジェ』は、我々のアイデンティティに重きを置く。

 ミュージカル『ソピョンジェ』がソリの名手「ソンファ」に注目する理由もここにある。ソンファは、韓国人であれば誰もが持っている情緒の遺伝子であり、現代化していく過程で我々が暫し失ったが、結局認めて受け入れるしかない我々のアイデンティティを代弁するキャラクターとして描かれている。(略)

・ 従順かつ平面的キャラクター vs 積極的で躍動的なキャラクター

 父ユボン、娘ソンファ、息子トンホなど、登場人物のキャラクターも全く異なる。映画の中では自分の夢を息子に強要する父の価値観が、他の人物たちを抑圧し、彼らがこれに従順であるとすれば、ミュージカルの中の主人公たちはずっと積極的だ。自分自身の生を切り開き、現実に立ち向かう躍動的な人物として描かれている。

 原作と違い、「トンホ」が最も変化した姿を見せる。原作でも最も開かれている人物であるトンホは、ユボンのソリを嫌って抵抗し、米8軍のロッカーとして自分のソリを追い求めるミュージカルというジャンルを率いてゆくキャラクターとして新たに登場する。(略)

・ ドキュメンタリー形式の時間順構成 vs 舞台ファンタジーの劇中劇構成

 映画『ソピョンジェ』は主人公の成長過程と南道ソリ道をたどって行くロードムービーだ。ドキュメンタリー的な感じが強いと言える。

 一方、ミュージカル『ソピョンジェ』は、初老のミュージシャン「トンホ」が葛藤の内に過去の痕跡を追って行く過程を過去と現在が共存する劇中劇構成で見せ、現在と過去を行き来する。こんな余情を舞台に具現するために、そして終わりのなく続く道を表現するために、回り舞台を使用する。また、歳月とともに流れる道を表現するために、四季を圧縮した映像と舞台装置が添えられる。(略)

・ ソリと風景の映像美 vs ソリと音楽が調和した舞台芸術、そして想像力

 さらに一つ、映画『ソピョンジェ』との大きな違いは、映画の白眉がパンソリを追い求める放浪の旅を表現した我が国の美しい風景の映像美であったとすれば、ミュージカルは劇場という空間をいっぱいに満たしたソピョンジェのソリと音楽の力だ。そして、想像力とイメージの極大化だ。

 (略) 基本的に映画とミュージカルのジャンル的な差異を離れても、特にミュージカル『ソピョンジェ』は、音楽と歌、そして西洋音楽にパンソリをかぶせて、一段とミュージカル的な音楽を披露する。ユン・イルサン(윤일상)作曲家と国楽アーティストのイ・ジャラム(이자람)、そしてキム・ムンジョン(김문정)音楽監督が共同作業で作ったミュージカルの歌と音楽は、伝統パンソリからポップ、クラシック、ロックなど多様な音楽が互いに共存し、調和できることを見せている。(略)

 また、ミュージカル『ソピョンジェ』は、総合芸術として、映画と違い、想像力とイメージの極大化を通して、舞台芸術だけの長所を十分に生かした。親切な説明と案内よりは、抑制された舞台構成と演出を通して映画より現場の響きがさらに大きな舞台劇術の感動を与えるようにするというのが、演出陣の考えだ。

     ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

 この記事読むと、かなり興味深い作品に仕上がっているようです。観てみたいな~。

 トンホが、父のソリを嫌って米軍でロックをやりながら自身の人生を切り開いてきた「初老のミュージシャン」として登場するって、驚きです。その設定だけでも一見の価値がありそうです。ちなみに「米8軍」は、朝鮮戦争の休戦後、韓国軍と国際連合(UN)軍を指揮してUN軍司令部の責任を遂行する在韓米地上軍のことです。

 ソンファが、韓国人が現代化の中で一度は失ったもののやはり自分たちのアイデンティティであると気づいたものを象徴するというのも、劇構造としてはうまく考えられていますね。

 映画『ソピョンジェ』は韓国人のノスタルジーを刺激する作品だったのだと思うのですが、ミュージカル『ソピョンジェ』は現代韓国人のあり方を歴史と社会を踏まえて再考させる作品になっているという印象です。この記事を読む限りでは。

 正直、どうせ映画は越えられないと、タカをくくって軽く見ていたのですが、何だかとっても観たくなってきました。こういう作品は、実際に観てみないと何とも言えないんですよねぇ。あぁ、どうしよう。

 公演は、11月7日まで、トゥサンアートセンター・ヨンガンホール(두산아트센터 연강홀)にて。

West

(画像は上記記事からお借りしました。左が映画『ソピョンジェ』、右がミュージカル『ソピョンジェ』です。)

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[記事]『西便制』ミュージカル化

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コメント

阿青さん

 もう1泊なさると、また別の公演も観たかった~となりそうですね。何日滞在しても、観たい舞台がザクザク。

 曲が良いと再演期待できそうですね。どんな舞台になってるのかなぁ。

投稿: なな/加藤敦子 | 2010.08.18 13:06

ミュージカル『西便制(ソピョンジェ)』
これも観たくて先週末ソウルへ行ってきたんですが、時間が合わず観られませんでした(涙)
選んだ演目に後悔は無いけれど、やはりもう1泊できたら良かった…。
開いたばかりですが、評判がいいようなので再演を期待します。

投稿: 阿青 | 2010.08.17 09:29

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