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2011.03.05

[記事]『天国の涙』、ジュンス追加出演

 創作大型ミュージカル『天国の涙』でキム・ジュンス出演回を増やすためにキャスティングが変更された件。ネット上で7紙の記事を読み比べてみました。

 まず最初に、自社取材の情報を加えつつ、きれいにまとめている記事をご紹介。


『天国の涙』 キム・ジュンス出演分2回追加…4日チケットオープン

 国内外ファンたちから殺到する問合せでキャスティング変更決定
 デイリアン 2011.03.03

 開幕前から全席売切、ファンたちの気をもませていたミュージカル『天国の涙〈천국의 눈물〉』のキム・ジュンス〈김준수〉(シアジュンス〈시아준수〉)出演分が追加編成された。

 製作社関係者は「開幕当初からずっとキム・ジュンスの追加公演に関する論議があった」とし、「公演延長等、様々な角度から合理的な方案を模索したが、余儀なく一部公演のキャスティングを変更することに決定した」と伝えた。

 これにより、新たに編成されたキム・ジュンスの公演は13日2時と7時の2回で、約3,000席規模だ。しかし、当初俳優チョン・ドンソク〈전동석〉のキャスティングでチケットが販売されていたため、すでに該当チケットを購入したファンたちには公演日程変更等について便宜を最大に提供する方針だ。

 キム・ジュンスはこれまで、『天国の涙』の1次分15,000席を5分で完売させ、2次分13,000席を3分30秒、3次分4,500席を2分30秒で売切にするなど、爆発的なチケットパワーを見せつけたところだ。

 キム・ジュンスは、「私が出演するミュージカル『天国の涙』に無限の関心を示して下さるファンたちに大変感謝しており、これまで見たくてもチケットがなくてご覧になれなかった方たちが、今度の機会には急いでチケットを買って、必ずご覧になれたらと思う」と話した。

 なお、ミュージカル『天国の涙』は、『ジキル&ハイド〈지킬앤하이드〉』で有名な作曲家フランク・ワイルドホーンと、『スイニートッド』の演出家ガブリエル・ベリー、ブロードウェイ制作陣が大挙参加し、世界的なミュージカルスターのブラッド・リトルが米軍大佐役で出演する。

 キム・ジュンスはベトナムに派兵された韓国軍で、偶然出会ったベトナム女性と運命を越えた恋に落ちて、すべてを捧げる男性主人公ジュンとして、カリスマあふれる演技と歌を披露している。

 ミュージカル『天国の涙』は、今月19日まで国立劇場ヘオルム劇場で上演され、新たに編成されたキム・ジュンス出演分は4日午後2時チケットオープンされる。



 続けてもう一本、上記記事が触れていない「裏話」を取り上げた記事をご紹介。


キム・ジュンス、15歳の少女ファンに『天国の涙』特別編成チケット販売

 アーツニュース 2011.03.03

 『天国の涙』のキム・ジュンスが、3月13日3,000席(2時、7時2回)を特別編成チケット販売をすると明らかになった。

 キム・ジュンスは、「キム・ジュンスの古くからのファンで、ミュージカルをどうしても見たいが、チケットを買うことができず、立場上、闇チケットを買うことはできない」という15歳の少女ファンのファンレターを受け取った。

 キム・ジュンスは、これまで公演チケットを買うことができなかった多くの国内及び海外のファンたちが多くの問い合わせをしてきたことを考え、製作会社側と協議して、特別編成を提案したという。

 また、キム・ジュンスは涙ぐましいファンレターを送った15歳の少女ファンには、本人が製作会社に要請してチケット2枚を直接購入し、少女に届ける予定だ。
(略)


 この記事のように、「15歳の少女ファン」からのファンレターに心を動かされたキム・ジュンスが製作会社側に「特別編成」を提案した、という報道が現時点では主流です。「裏話」を前面に押し出して、ファンを大切に思うキム・ジュンスの美しい提案という取り上げ方。そして、アーツニュースの記事もそうですが、「特別編成」がチョン・ドンソクとの交替であることに触れていない記事がほとんどです。

 出演回のチケットがあっという間に完売してしまったため、キム・ジュンスのファンたちが製作会社に追加公演を熱烈に要望していたことは容易に想像できます。また、今回の追加販売でやっとチケットが入手できて、狂喜乱舞しているファンもいることでしょう。その気持は分かります。

 そして、こんな風に、当事者の要望を汲んで融通をきかせることができるというのは韓国社会で普通のことです。韓国で暮らしている時、日本では考えられないような融通がきくお陰で助かったことは、一度や二度ではありません。韓国社会、韓国人の長所・美点だと思ってます。

 そうしたことは認めた上で、それでもやはり、ファンの熱望を理由にキャスティング変更するというのは、やってはいけないことだったと思います。そう考える理由は、いくつもあります。

1 キャスト変更で「降ろされた」チョン・ドンソクと彼のファンたちをないがしろにしている。
2 すべてのキャストを見たいと考えるようなミュージカル・ファンに対しても配慮がない。
3 涙のファンレターを送ればキャスティング変更できるという悪しき前例を作ってしまった。

 1は言うまでもありません。せめて表向きだけでも別の理由(他の仕事のスケジュールとか体調とか)を立てるのが最低限の礼儀でしょう。それをしないところも、韓国的と言えば韓国的なのですが。

 2、韓国でもダブル、トリプルのキャストすべてを見ようとするミュージカル・ファンが増えています。『ジキル&ハイド』『リトル・ダンサー』のヒットで、そうした傾向は一段と強まっています。自分のスケジュールを遣り繰りして、すべてのキャストを見ようとチケットを買っているファンの存在を軽んじています。

 3、今回の追加公演でもチケットを買えなかったファンは大勢いるはずです。キム・ジュンスの出演回をもっと増やしてほしいという要求はさらに強まることが予想されます。

 さらに言えば、今回の措置がチケットを望む大勢のファンの声に応えることができたとは思われず、また、公演のイメージに傷をつけたのではないかとも思っています。その根拠は次の3点。

4 3万人のキャンセル待ちに対して、3,000席は焼け石に水。
5 販売方法が同じなので、以前のチケット争奪IT戦に敗れた人は今回も敗れる(可能性が高い)。
6 キム・ジュンス以外の回は売れてないのだろうかという邪推を生む。

 4のキャンセル待ち3万人は、キム・ジュンス人気の証明の一として報道されていました。延3万人でしょうから、実数1万人としても、7,000人は今回もチケットが取れなくてがっかりしたという計算です。次の5、6を考え合わせれば、失望した人数はさらに多いかもしれません。

 5、今回のチケット販売方法は、いつも通り、チケットオープンの日時にインターネット上でインターパーク・チケットへアクセスして、予約・購入の手続きを取る、というものです。このチケット争奪戦は、PCの処理速度とネット回線のスピードが勝負です。これまでチケット争奪戦に勝てなかった人は、最新のPCに買い換えたとか、より高速の回線を確保したという環境改善がない限り、今回も勝てなかった可能性が高いのです。逆に、以前チケットを入手できた人は、今回も入手できた可能性が高いです。追加販売3,000席の内、初めてチケットが取れた!という人がどれだけいることか。

 6、キム・ジュンスにキャスティング変更した13日の2回公演、そんなにチケットが売れてなかったのだろうか……という疑問は自然に湧いてきます。各記事に「3,000席」という販売枚数が出ているのも疑問です。『天国の涙』を上演している国立劇場ヘオルム劇場は1,563席。2回で3,000席というのは劇場の定員数です。各記事はほぼすべての席が売りに出されたかのような書きぶりで、チケットはほとんど売れていなかったと言っているも同然なのです。実際に売りに出されたのは売れ残っていた分のみ、3,000枚よりずっと少なかったはずで、私は1,600~1,800枚程度と推測してます。製作会社側はこうした点に気を遣わず派手な数字でプレスリリースをしているようで、公演が終盤にさしかかった今の時点でそんな手を打ってくるとは、全体の興行成績は不振なのではないか、つまりは作品の水準が今ひとつなのではないか、キム・ジュンスの出演はテコ入れのための話題作りなのではないか、と邪推してしまうわけです。

 まぁ、私自身はこの話題のお陰で、先日のソウル滞在でパスした『天国の涙』が俄然見たくなっちゃったのですから、テコ入れの効果はあるのかもしれませんね。
 現時点ではキム・ジュンスの美談として宣伝されている「特別編成」が今度どのように評価されるのか、注目していきたいと思っています。

 おまけ。
 この記事を書き始めて、「てんごくのなみだ」と入力、変換したら「天国の(T_T)」となっちゃいました。Google日本語入力、お茶目です。

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コメント

dachoさん

 コメントありがとうございます。

 『天国の涙』、私もジュンス以外の回で見ました。入はよくなかったですね。

 作品自体はそこまで悪くはなかったと思ってます。

 三谷作品、『笑の大学』『君となら』に続く三作目があるかどうか、気になりますね。(o^-^o)

投稿: なな/加藤敦子 | 2011.03.21 18:44

はじめまして、『天国の涙』で検索して辿り着きました。

そしてコチラの記事、興味深く読まさせて頂きました。


自分は今回、共演者目的で今作を観劇しましたが、主演俳優がジュンスではなかったためか最前列で観ることが出来ました。

前方席は埋まっていましたが、後ろはガラガラでした。また、客席も他のワイルドホーン2作に比べると、客層も、年配の方や男性が多く、ちょっと傾向が違いました。

また、ミュージカルとしては、再演している他のワイルドホーン作品に比べ、イマイチでしたが、耳に残る曲も何曲か。


韓国版の三谷作品の情報を調べるべく、またお邪魔するかも知れませんが、宜しくお願いします。

投稿: dacho | 2011.03.20 17:58

阿青さん

> 日本公演が実現した暁にはぜひ、邦題『天国の(T_T)』で!!

 違う客層が押し寄せそうな。(^-^;

投稿: なな/加藤敦子 | 2011.03.08 01:42

日本公演が実現した暁にはぜひ、邦題『天国の(T_T)』で!!

投稿: 阿青 | 2011.03.07 16:18

コロコロさん

 コメントありがとうございます。

 出演回が減ったチョン・ドンソクは気の毒だし、ファンの方々はがっかりしてますよね。製作会社の配慮がなさ過ぎです。

 ただ、コロコロさんも仰ってるように、チョンドンソクにはこれをバネに実力を伸ばしていってほしいです。
 韓国の観客は見る目が厳しいです。なので、力のある人はちゃんと高く評価されていきます。

 それから、記事というか製作会社側の発表では、キム・ジュンスの「提案」ということになってますが、本当にそうだったかどうかは分からないと思ってます。

投稿: なな/加藤敦子 | 2011.03.06 23:21

はじめまして。
ドンソクさんは素晴らしい俳優さんだからこの悔しさをバネにがんばってくださいます。
彼は同時期にほかの舞台にも出演しますし忙しいですからね。
製作会社にも問題ありですが案を出したジュンスに幻滅しちゃいました。
ドンソクさんのファンの気持ちを考えたら酷い話です。

投稿: コロコロ | 2011.03.06 19:33

chamiさん

 ジュンス出演回のチケットは、日本の普通のファンが取ろうとしても、まず無理でしょうねぇ。 i Seoul Tour で取れるといっても、あのシステムは韓国のWindows に最適化されてるので、日本の普通のPCでは処理速度が遅くなるので……。韓国のジュンス・ファンと争って勝てる可能性は低いです。

 『天国の涙』、演出がとてもよいという評判があるようで、やはり舞台を見てみたいなぁと思ってます。

 韓国ミュージカルの海外プロモーションは、まだ試行錯誤の段階ですね。海外で人気のアイドルを起用したり、字幕つけてみたり、特別パッケージのOST販売したり……。
 韓国より成熟している日本のショービジネスのよいところをうまく取り入れてくれるといいなぁと思ってます。日本向けに舞台のDVD販売したら、相当売れるのではないかなぁ。(o^-^o)
 

投稿: なな/加藤敦子 | 2011.03.06 15:52

rinrinさん

 長文読んでくださってありがとうございます。

 限られた滞在期間中に、特定のスターでなく舞台そのものを見たい場合には、アイドルのキャスティングで完売しちゃうのはもどかしいですよね。

 『天国の涙』という作品の評価は……う~ん。作品がよければ、ジュンス以外の俳優さんの回もチケットが売れ出すはずですが、そうなっていないようです。
 ただ、こればっかりは自分の眼で見てみないと、ですね。

 日本では、ジュンスに負けないモーツァルトですか。それはぜひ見てみたいです。(^^)
 南座の『宮』も見に行きたいのですが、行かれるかどうか……。

投稿: なな/加藤敦子 | 2011.03.06 15:40

当初、「ジュンンスの追加公演が決まったんだ!」と、お気楽に思っていたのですが・・・・こんな背景があったとは・・・、とにかくびっくりです(-_-;)
私もKPOP大好きなので、出来ることなら「天国の淚」はジュンスが出演する日が観たいと思っていた一人なのですがチケット確保が簡単じゃないことで諦めていました。ジュンス公演じゃない「天国の淚」を観た友人は、「ものすごく良かった。感動が止まらない」とのこと。因みにこの友人は韓国ミュージカル大好きで多くの作品を観ていまます。
「宮」もユノの公演の日は、日本語字幕があったり・・・今までにない変化が起きているように感じてしまいます。
「天国の淚」私も俄然観たくなりました(*^_^*)

投稿: chami | 2011.03.06 10:55

興味深く読ませて頂きました
ほかのミュージカルでも、アイドル出演回だけ売切れで、
日本からの渡韓スケジュールに見たいミュージカルが見られなかったりがありますよね
「天国の涙」作品としてはいまひとつで、ジュンスの公演だけ光っているという評もあるみたいですが、
実際はどうなんでしょう
わたしも、俄然見たくなりましたが、もう終わりですもんね
どなたかの感想待ちたいです
「モーツァルト」日本のミュージカルで俳優さんが
「ジュンスに負けないぞ〜」と言ったとか言わないとか…
「宮」を松竹が主催したり、韓国ミュージカル違う意味でも目が離せません

投稿: rinrin | 2011.03.05 22:26

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