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2011.09.19

[記事]『美女はつらいの』、「問題ない」(附 「原作」の意味)

* 「原作」についてのコメント部分を加筆修正しました。(2011.09.20)

 韓国ミュージカル『美女はつらいの』の公演中止を求める仮処分申し立てについて、韓国での報道記事をご紹介。
 韓国製作会社代理人のコメントを具体的に取り上げている記事を選びました。


『美女はつらいの』日本公演、「何も問題ない」

 スポーツ朝鮮 2011.09.16

 「何も問題ないものと思う。」

 日本で公演中止仮処分訴訟に巻き込まれた創作ミュージカル『美女はつらいの〈미녀는 괴로워〉』と関連して、原作権を持っているKMカルチャー〈KM컬처〉の法律代理人であるチェ・ジョンファン〈최정환〉弁護士(法務法人トゥウ〈법무법인 두우〉)は、16日、「日本の漫画は大学が舞台であり、『美女はつらいの』は歌謡界が舞台だ。女性主人公が全身整形するという設定を除けば、内容が異なる」とし、「事前に日本側の製作会社である松竹と日本の著作権専門家などと協議した結果、何の問題もないという結論を出した」と自信をほのめかした。

 2006年、キム・アジュン〈김아중〉、チュ・ジンモ〈주진모〉主演の映画として公開された『美女はつらいの』は、日本の講談社から出版された鈴木由美子の『カンナさん大成功です!』が原作。契約を結びはしたが、映画化の過程で主人公が全身整形するという部分以外は別の物語に変えられた。2008年、ミュージカルとして製作されて、さらに新たな内容にトランスフォームし、原作権契約をしなかった。講談社側から抗議があったが、特に問題にならなかった。

 しかし、今回、日本公演を目前にして再び作家の側が問題を提起したもの。KMカルチャーと日本側のミュージカルの製作会社である松竹が、講談社と協議してきたが、合意点を見出せず、結局、講談社は、14日、東京地方裁判所に公演中止を求める仮処分申請をした。すでに第一回公判が15日に開かれ、第二回公判が27日頃に開かれる予定だ。

 訴訟と関連して、松竹は「公演を予定通りに行う」と明らかにした。『美女はつらいの』は10月8日から11月6日まで大阪・松竹座で公演された後、12月の韓国公演に続き、中国・北京とシンガポール等、アジアツアーに出る。特に日本で人気の高い女性グループKARAのリーダーであるパク・ギュリ〈박규리〉が主演をつとめ、話題になってきた。

 チェ弁護士は「公判の過程を見守らなければならないだろうが、衡平に齟齬する結果は起きないだろう」と話している。


 日本では漫画が「原作」、漫画作者が「原作者」と思われている(慎重なメディアは「原作とされる漫画」として、その点の判断を避けています)のと対照的に、韓国では「原作権を持っているKMカルチャー」とされている(スポーツ朝鮮は慎重じゃないです、スポーツ紙だし)のですね。
 昨日の記事に書いた通り、争点はこの部分です。なので、松竹が「韓国企業と講談社の間で交渉されるべき話」(朝日新聞、9月16日付記事)と言っているのはもっともです。

 この「原作」という言葉、日本と韓国で同じ漢字熟語「原作/원작」ではあるのですが、その捉え方がかなり違います。
 日本では、小説や漫画が「原作」の映画なら、主人公を始め主要な登場人物のキャラクターとストーリーの大筋は原作に従う場合が多いように思います。原作と違う部分があるとすれば、原作にない脇役やエピソードが追加されたり、原作を知っていても新鮮な感動があるように結末を変えたり、という程度。
 ところが、韓国では、「原作」から設定やアイディアを部分的に採用して、あとは全面的に創作するというケースがよくあります。良い例が『オールド・ボーイ』。カンヌ国際映画祭でグランプリを取った韓国映画です。日本の同名漫画が原作と謳っていますが、漫画から得ているのは「理由も分からず長年監禁された男が、監禁した相手とその理由を知るために奔走する」という設定。その上で、主人公2人のキャラクター、ストーリー展開、監禁の理由、物語の結末、すべて漫画とは異なっています。
 韓国の製作側は、「原作」をモチーフに新たな作品を「創作」するという意識で映画化・舞台化しているのですね。韓国の「原作」と「映画・舞台」の関係は、日本人が一般的に想定する「原作」と「映画・舞台」の関係と違う(場合が相当の割合で存在する)ということです。

 ところで、これ、この後の韓国公演とアジアツアーについてはどうするのでしょうね。漫画作者(講談社)はそれぞれの国で公演差止めの仮処分を申請するつもりがあるのでしょうか。
 日本で差止めが認められれば、韓国・北京・シンガポールの公演は当然取りやめるだろうと思ってるのかもしれませんが……う~ん、それはちょっと甘いような。

 チェ・ジョンファン弁護士、ちょっとリサーチしちゃいましたが、なかなかやり手の弁護士さんのようです。日本の法律事務所に勤務した経験もあるそうです。

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コメント

マンソクさんとパダちゃんの組み合わせで観る予定ですが、ジュンモさんを拝見したくて行って来ました。ソンジェ君とギュリちゃんバージョンです。
客席ほぼ満席。二人が可愛くて、一生懸命で・・・かなり盛り上がっていました。ジュンモさんが、本当に楽しんで演じてらして、そしてあの素晴らしい声で、シャバンシャバンって歌うなんて@@!
色彩豊かで、ファンタジックな舞台でしたが、整形の問題は、韓国と日本ではかなり捉え方が違うなあと感じました。
何はともあれ、無事、開幕して良かったです。

投稿: pin | 2011.10.10 22:45

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