映画・テレビ

2006.10.31

[映画]熱血男児/열혈남아

21:00
ブロードウェイ劇場1館
F列13番(Daum Cafe ソルトイ試写会)
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監督:イ・ジョンボム/이정범
出演:ソル・ギョング/설경구、チョ・ハンソン/조한선、ナ・ムニ/나문희、ユン・ジェムン/윤제문、オ・ヨン/오용、リュ・スンヨン/류승용、シム・イヨン/심이영
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 少年院で知り合い、同じ組織に属するヤクザのチェムン(ソル・ギョング)とミンジェ(リュ・スンヨン)。上から命じられた任務でミスをして、ミンジェは相手方に殺されてしまう。復讐を誓ったチェムンはミンジェを殺したテシク(ユン・ジェムン)の故郷ボルキョへ向かい、テシクの母親チョムシム(ナ・ムニ)の食堂に出入りする。手下のチグク(チョ・ハンソン)と共にテシクを待つ緊張の日々が続く中、チョムシムとチェムンの間にあたかも母と息子のような情が芽生え始め……。

 ソル・ギョングの眼つきの鋭さは超一品。チョムシムに対するぶっきらぼうな「息子」ぶり、タバンアガシへの馴れ馴れしさ、子分チグクへの非情さ、テコンド道場の子供たちへのでたらめな接し方。自分でもよく分かっていない彼の感情と行動がうまく表れている。
 そして、何と言っても母親役のナ・ムニの演技が素晴らしい。ふとした時の表情や何気ないセリフに、いくつになっても子供のために心労が絶えない母親の悲しい性がじんわりと伝わってくる。ヤクザになった息子を認められないのも、もう一人の息子が死んだことを認められないのも、息子への愛情ゆえ。対象を失った母の情愛はチェムンに向けられるが、それもチェムンの姿が同じヤクザである自分の息子にダブるから。ナ・ムニの演技は、母親の愛情が利己的でも普遍的でもありうることをごく当たり前に見せてくれる。
 母の愛情を知らないチェムン、母と和解できないテシク、母の入院費用を稼ぐためヤクザの道に入ったチグク。タイトルは「熱血男児」だが、この映画のテーマは「母」である。

 残念なのは、映画全体がストーリー(セリフ)と役者の存在感に頼り過ぎていて、登場人物たちの背負っているものが見えて来ないこと。序盤のセリフが完全に聞き取れていないせいもあるだろうが(封切後再見予定)、しかるべきショットがあるべきではないか。
 また、宣伝が今ひとつ。本編の名場面を予告編で見せ過ぎていると思うし、チラシのストーリー解説には些細な部分ではあるが編集意図を無にするネタバレがある。
 下半期の忠武路最高のシナリオとも言われていただけに惜しい。

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2006.10.28

[映画]秋へ/가을로

14:10
MMC10館
B列91番 6,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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監督:キム・デスン/김대승
出演:ユ・ジテ/유지태、キム・ジス/김지수、オム・ジウォン/엄지원
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 ヒョヌ(ユ・ジテ)とミンジュ(キム・ジス)は1ヶ月後に結婚を控えた恋人同士。しかし、ミンジュがデパート崩壊事件の現場にいたことで、二人の幸福な未来は失われてしまう。ミンジュの死後、虚しい日々を送るヒョヌの元へミンジュのノートが届く。そこには、旅行番組のPDとして国内の美しい風景を知り尽くしていたミンジュが立てた新婚旅行プランが詳細に書き込まれていた。ヒョヌはノートを片手にミンジュのプランに従って東海(日本海)沿いの旅行を始めるが、行く先々で一人旅をする若い女性セジン(オム・ジウォン)に出会う。偶然の繰り返しのように見えた二人の出会いだったが、それはミンジュを介した必然的な出会いであった。

  今年のプサン国際映画祭オープニング作品として、また、1995年6月に起きたソウル三豊デパート崩壊事件を背景としたラブストーリーということでも注目を集めている作品。ストーリーの主筋は婚約者を失ったヒョヌの癒しの旅であるが、追憶としてたどられるヒョヌとミンジュの恋愛、ミンジュとセジンの交流、ヒョヌとミンジュの両親の関係をうまく織り込みながら物語が進んで行く。失われた後に実感する失ったものの輝きから、ヒョヌとミンジュのラブストーリーが浮かび上がる。
 ヒョヌとミンジュの関係は「笑顔」がキーポイントで、ユ・ジテの笑顔がこれにぴったり嵌る。ミンジュの役柄は容姿・能力・性格すべてに出来すぎの感もあるが、容姿も能力も凡庸らしいセジンとの対照は明快。
 秋の美しい風景は、時に絵ハガキ的でもあるが、ミンジュが撮りためていた写真と関係であえてそのような映像作りをしているらしい。あるいは、現地は本当に絵ハガキ的な風景なのかもしれない。

 舞台挨拶の回に鑑賞。多少記憶が曖昧だが。
 ユ・ジテ:舞台挨拶は初めてでドキドキしている。空席があって心が痛む。良いと思ったら周りの人にも勧めて、空席がなくなるようにしてほしい。
 キム・ジス:俳優が出てきてニコニコ笑うだけの映画にはしたくなかった。この映画を通じて皆さんも秋への旅行をした気持ちになってくれるといいと思う。

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[映画]偉大なる系譜/거룩한 계보

16:45
MMC2館
B列805番 6,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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監督:チャン・ジン/장진
出演:チョン・ジェヨン/정재영、チョン・ジュノ/정준호、リュ・スンヨン/류승용
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 チンピラヤクザのチソン(チョン・ジェヨン)はボスの命令で一仕事して刑務所へ入る。刑期は7年。そこで、死んだとばかり思っていた友人スンタン(リュ・スンヨン)に再会する。チュジュン(チョン・ジュノ)はチソンのいなくなった後、ボスの右腕となる。チュジュンは自分のことをヤクザではなく組織に勤める「会社員」だと考えているが、一方でチソンへの友情は厚い。チソン、チュジュン、スンタンは少年時代からの親友3人組なのだった。
 組織に見捨てられ裏切られたと知ったチソンは、刑務所からの脱走を企て、組織への復讐を誓う。珍騒動の末に脱獄したチソンの行く手を阻むのは、幼馴染で組織の「会社員」を自認するチュジュンであった……。

 チョン・ジェヨンとチョン・ジュノのツートップとして宣伝されているが、チョン・ジュノは公開前のインタビューで「チョン・ジェヨンさんの映画」と語っており、実際に見てみると<チョン・ジェヨンと個性豊かな仲間たち+チョン・ジュノ>という印象。ヤクザの内部抗争が展開するストーリーの中間に脱獄コメディが挟まれ、チソンとチュジュンの友情以外に、刑務所内での囚人たちの奇妙な連帯感と友情関係、チソンの復讐を支える周囲の人々の義理と人情が描かれて行く。特に、刑務所内の囚人たち--人間味ある死刑囚(イ・ムンス)、脱獄研究家(チュ・ジンモ)、サイコ殺人魔(コン・ホソク)、サイコ殺人魔と心を通わせる囚人(キム・ジェゴン)--の個性豊かなキャラクターは秀逸。各人の人生を描く映画がそれぞれ1本ずつ作れそうに思えるほど見事に役柄を掴んでいる脇役俳優たちの名演と、それを生かした演出も見もの。また、チョン・ジェヨンのアクションが爽快。

 上映前に舞台挨拶あり。チャン・ジン監督とチョン・ジェヨンが出てくると、客席から「同じだ…」「そっくり…」の声が。確かに体型や髪型、雰囲気が似ていて可笑しい。
 チャン・ジン監督:このように公開2週目にまた舞台挨拶ができて嬉しい。
 チョン・ジェヨン:面白い愉快な映画なので、できるだけ大勢の人が見てくれるといいと思う。
 チョン・ジェヨンはもっといろいろなことを言っていたのだが、思い出せない……。ヤクザ映画と思っていたので、「愉快な映画」と聞いて意外の感があったが、確かに愉快な映画だった。

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2006.10.14

[映画]いかさま師/타짜

12:10
ソウル劇場2館
下階J列13番 6,500W(サムソンカード会員1,500W割引)
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監督:チェ・ドンフン/최동훈
出演:チョ・スンウ/조승우、キム・ヘス/김혜수、ペク・ユンシク/백윤식、ユ・ヘジン/유해진
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 コニ(チョ・スンウ)は偶然足を踏み入れた花札賭博で一流の「いかさま師」になるためピョン・ギョンチャン(ペク・ユンシク)に弟子入りし、賭場の花チョンマダム(キム・ヘス)と知り合う。いかさまがバレれば右手を潰される裏社会。自分をこの世界に引き入れた男、同郷の「いかさま師」(ユ・ヘジン)、伝説の「いかさま師」アギュ。人生を賭けたコニの戦いは続く。誰が味方で誰が敵なのか……。

 「ビッグ・スウィンドル」(原題「犯罪の再構成」)のチェ・ドンフン監督らしく、チョンマダムを語り手に時系列が再構成され、ヤクザ映画というよりはコン・ゲームの面白さを持つ作風。ぐっと大人びてきたチョ・スンウの魅力に、キム・ヘス、ペク・ユンシクの謎めいた存在感がたっぷり味わえる。韓国には本当にこんな花札賭博の世界があるのだろうか。

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2006.09.30

[映画]ラジオ・スター/라디오 스타

17:35
ソウル劇場1館
P列21番 7,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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監督:イ・ジュニク/이준익
出演:パク・チュンフン/박중훈、アン・ソンギ/안성기、チェ・チョンユン/최정윤、チョン・ギュス/정규수、チョン・ソギョン/정석용、No Brain/노브레인
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 1988年に絶大な人気を誇ったロック歌手チェ・ゴン(パク・チュンフン)も2006年の今はすっかり落ち目。彼の20年来のマネージャーであるパク・ミンス(アン・ソンギ)は、何とかチェ・ゴンをもう一度スターの座につけたい。しかし、ミンスの努力と期待を裏切るようにチェ・ゴンは警察沙汰を引き起こしてしまい、何とか取れた仕事は田舎町ヨンウォルのローカルラジオ番組のDJ。番組のプロデューサーはこれまたヨンウォルに左遷されてきたカンPD(チェ・チョンユン)。気が強く頑固な女性PDとふて腐れた元スター歌手は初回から衝突し、ミンスの営業努力も虚しく、町の人々は番組に無関心である。ところが、やる気のないチェ・ゴンがスタジオへコーヒーの出前に来たタバンアガシを勝手に放送に出演させたことが転機となり、「チェ・ゴンの正午のリクエスト」は聴取者参加型の人気番組となる。チェ・ゴンを崇拝する町のロックバンド・イーストリバー(No Brain)の4人組が番組のファンサイトを作ってインターネット放送をしていたため、番組はソウルでも評判となり、「正午のリクエスト」はソウルからの全国放送へ格上げされることになる。チェ・ゴンの前に再びスターへの道が開かれたが、それはパク・ミンスとの縁を切り、有力な芸能事務所と契約することが条件であった。

 ストーリーはロック歌手チェ・ゴンを軸に展開するが、画面を占めるのはマネージャーの方。アン・ソンギの魅力を堪能できる映画である。妻子に苦労させながら、マネージャーとして20年間チェ・ゴンを守り、チェ・ゴンのために頭を下げ、チェ・ゴンの尻拭いをし続けて来た男。営業や企画のセンスも方法も古臭いが、チェ・ゴンの才能を信じ、彼を再びスターにすることが自分の役割と任じている男。ヨレヨレで情けないのに、情に厚く懐の深い、味のある男。韓国人ウケするキャラクターだが、それもアン・ソンギが演じてこそ。さりげない爪弾きのギター演奏や鼻歌には言うに言われぬ情緒が溢れる。ラストシーンでぴたっと決めた傘の位置の鮮やかなこと。あの絵にこの映画のテーマが象徴されている。
 小さなエピソードが新たな展開につながる脚本も面白く、田舎の素朴な町を舞台に短いショットをつないでいく映像も印象的。楽しく切なく心温まる映画に仕上がっている。

 上映前に舞台挨拶のある回を予約していたのだが、その前の回の上映終了後の舞台挨拶も見られるとのことで、エンドロールが流れる中、スクリーン脇の入口から客席に入ると、すぐ目の前にアン・ソンギが。至近距離で見たアン・ソンギはそれはそれはカッコよかった。

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2006.09.24

[映画]私たちの幸福な時間/우리들의 행복한 시간

14:20
ロッテシネマ蘆原7館
J列9番 8,000W
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監督:ソン・ヘソン/송해성
出演:イ・ナヨン/이나영、カン・ドンウォン/강동원
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 孤児院出身のチョン・ユンス(カン・ドンウォン)はその生い立ちから人を信じることも愛することもうまくできない。それゆえ結果的に一人の人を殺してしまい、その上に自分がしてもいない殺人の罪まで被って死刑囚となっている。元歌手のムン・ユジョン(イ・ナヨン)は修道女のおばと一緒にユンスに面会に来る。ユンス自身が望んだことであったが、人間も世間も信じていないユンスは心を開かず、自らの孤独を守り続ける。一方、おばに連れられて渋々やって来たユジョンは3度の自殺未遂経験者。彼女もまた過去の出来事が原因で心に深い傷を負い、周囲の人々と円満な関係が築けない孤独な存在だった。

 コン・ジヨン(공지영)の同名のベストセラー小説が原作。死刑囚の男と自殺願望のある女が次第に相手に心を開き、惹かれ合い、愛し合い、幸福な時間を共有するようになる。しかし、二人の幸福な時間は死刑執行という残酷な終焉へ向かう時間でもある。題材からすでに感動的な物語を約束されたストーリと言える。
 主役二人の演技は真摯で好感が持てた。その割に映像的に印象の強い場面が少なかったのが残念。二人が会える場所は刑務所の面会室だけという設定上の制約があるとはいえ、ストーリーでなく映像で感動させてほしかった。刑務官役のカン・シニル、この作品でも良い役どころ。

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2006.07.31

[映画]グエムル/괴물

18:30
新宿・明治安田生命ホール
自由席 無料(試写会招待券)
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脚本・監督:ポン・ジュノ/봉준호
出演:ソン・ガンホ/송강호、ペ・ドゥナ/배두나、パク・ヘイル/박해일、キム・ヒボン/김희봉
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 『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督の第二作として、韓国映画今年最高の話題作。韓国では7月27日公開。見たくて見たくてこの映画のためだけにソウルへ戻ることも検討したが、日本の試写会に応募しまくって見事当選。日本では9月2日公開予定。
 最初から最後まで監督の演出が行き届き、上手い、の一言。悲しみの場面で笑わされ、怪物の登場に驚かされ、エンドロールにまで奇妙な緊張感が持続する。注目の怪物は、ウルトラマン・ウルトラセブンの怪獣を見慣れた目には「斬新」。そして、やっぱりソン・ガンホは凄い。ソン・ガンホ演じるカンドゥが間抜けなせいで、娘(コ・アソン)は怪物にさらわれ、父親(キム・ヒボン)は死に追い込まれるのだが、それも仕方ないかと思わせる「何か」をきっちり見せてくれる。それはカンドゥの間抜けぶりでなく、間抜けであるがゆえに持ち得たと思われる普通の人以上に広く温かい心だったりする。最後に怪物と対峙した時のソン・ガンホの表情がとても印象的。あれは、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホが意図して見せたものなのか、それとも怪獣と心を通じ合わせようとするウルトラシリーズの歴史を持つ日本人の私が見て取ってしまったものなのか。それを確かめるためにも再見せねば。もう一回試写会が当たりますように。

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2006.06.14

[映画]家族の誕生/가족의 탄생

18:10
シネコア4館
O列11番 7,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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監督:キム・テヨン/김태용
出演:コ・ドゥシム/고두심(무신)、ムン・ソリ/문소리(미라)、イム・テウン/임태웅(형철)、コン・ヒョジン/공효진(선경)、キム・ヘオク/김혜옥(매지)、ポン・テギュ/봉태규 (경석)、チョン・ユミ/정 유미 (채현)、リュ・スンボム/류승범 (特別出演)
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 ミラ(ムン・ソリ)はトッポッキの店をしながら暮す女性。彼女の所に出来の悪い弟(イム・テウン)が彼女を連れて帰って来た。その彼女(コ・ドゥシム)は弟より20歳以上も年上のオバサン。仕方なく三人一緒に暮し始めるが、娘がお母さんを慕って訪ねて来たことで、彼女には前夫と子供がいることが判明する。ソンギョン(コン・ヒョジン)は、一人で自活するしっかり者のリアリスト。ロマンティストの母親の不倫を目の当りにして来たため、愛を信じることができない彼女は彼氏(リュ・スンボム)との関係も母との関係もうまく行かない。母の余命が短いことをソンギョンに伝えに来た母の愛人に腹を立て、ソンギョンは逆に男の家に乗り込む。キョンソク(ポン・テギュ)とチェヒョン(チョン・ユミ)は恋人同士だが、自分以外の男友達にも何かと世話を焼くチェヒョンの性格がキョンソクには気に入らず、そんなキョンソクの気持ちがチェヒョンには理解できず、二人の関係はギクシャクして行く。お互いに好きなのに。

 10人前後の主要人物が人間模様を織りなす「ラブ・アクチュアリー」タイプの作品。「家族の誕生」というタイトルの通り、この作品のテーマは「家族」である。様々な「家族(親子、兄弟姉妹、夫婦、恋人)」の形を見せることで、「家族」を成立させるのは血縁でも法律でもなく、結局お互いの愛なのだということを描いている。伝統的に「血縁」が非常に重視される韓国で、このような「家族の誕生」を描いた映画が作られるのは興味深い。
 韓国映画らしい佳作。韓国映画はこの作品のような「佳作」が本当に面白い。

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2006.06.10

[映画]ホロビッツのために/호로비츠를 위하여

17:20
ソウル劇場10館
E列13番 5,000W(前売2,000W割引)
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監督:クォン・ヒョンジン/권형진
出演:オム・ジョンファ/엄정화、パク・ヨンウ/박용우、シン・イジェ/신의재、チェ・ソンジャ/최선자、ユン・イェリ/윤예리、キム・ジョンウォン/김정원(ピアニスト)
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 チス(オム・ジョンファ)はホロビッツのようなピアニストになることを夢見て音楽の勉強を続けてきた。しかし現実は厳しく、大学時代の同期生たちが音大の教授になったり留学したりする一方で、チスは生活のため子供相手のピアノ教室を開く。祖母と二人暮しで自閉傾向のあるキョンミン(シン・イジェ)は教室に勝手に出入りする困った子供だったが、ある日、チスはキョンミンに優れた音楽的才能があることに気づき、彼の師匠として名声を得ることを目論むようになる。チスはコンクールで優勝させるためキョンミンに猛特訓を強制し、キョンミンは戸惑いながらもチスへの憧れとピアノの楽しさに引かれてぐんぐんその才能を伸ばしていく。そして、コンクール当日、キョンミンはピアノを全く弾けなかった。失望したチスはキョンミンに対してもう教室に来るなと宣言する。二人がそれぞれに虚しい日々を送っていた時、キョンミンの祖母が倒れ、危篤状態に。キョンミンは祖母が亡くなれば一人の肉親もない孤児となってしまうのだが……。
 自閉傾向のある子供が隠れた芸術的才能を持っているという設定は凡庸である。しかし、この映画ではその才能を見出し導いて行く「師匠」の設定がうまい。チスは世界的ピアニストという夢を果たせずにいる女性である。「自分には才能が足りなかった」「家の事情で留学できなかった」「音楽を存分に勉強できるような裕福な家でなかった」と言い訳しながら、華やかなキャリアを誇る同期生に引け目を感じ、良い人を見つけて嫁に行けという母親がわずらわしく、ピアノ教室の経営状態を心配して結婚式場のアルバイトを紹介してくれる兄が有難くも腹立しい。だから、キョンミンの才能に気づいたチスは、天才少年ピアニストの師匠となることに人生の一発逆転を賭ける。キョンミンの気持ちには全く無頓着なままに。
 とは言え、チスに周囲の人への思いやりがないわけではない。自分のピアノのために、母は稼いだお金のほとんどを差し出し、兄は大学進学を諦めて就職した。そんな母や兄が嫌いだと言いながら、本当は母や兄の援助にも関わらず一流ピアニストになれない自分が苛立たしく、現状に安住もできない自分が嫌いで苦しいのだ。そうしたチスの姿はキャリアを目指して生きる現代女性の姿と重なる。この映画が自閉症天才少年物語にとどまらず、観客の共感を得ることのできるドラマとなっているのは、現代社会を生きる女性としてのチスの設定にある。オム・ジョンファがそんな女性をうまく演じている。
 ゆえにチスが丁寧に描かれるほど見ている側は息苦しくなるのだが、所々に挟まれた爆笑場面が効を奏し、袋小路に陥りそうなドラマを救う。チスに思いを寄せるピザ屋の社長クァンホ(パク・ヨンウ)の存在がストーリーにラブコメタッチの楽しさを与えている。見るからにいいヤツという風貌を持つパク・ヨンウ、「甘く、殺伐とした恋人」に続いて好演。始終キョンミンを叱り飛ばし、チスにも難癖をつけてくるが、内心ではキョンミンの行く末を誰よりも案じている祖母(チェ・ソンジャ)。同期生の中で最も成功し、チスを気遣いながらもクールなチョンウン(ユン・イェリ)。それぞれ効果的なキャラクターである。
 全編を通じて演奏される様々なピアノ曲が情感に溢れストーリーを盛り上げる。キョンミン役のシン・イジェは、制作陣が1年がかりで全国のピアノ学院を回って探し出したという「本当の天才少年」。オム・ジョンファもピアノの腕前は相当なものだそうで、演奏場面は実際に本人が弾いているという。
 「ミッション・インポッシブル3」「ダ・ヴィンチ・コード」「ポセイドン」などハリウッド映画に押されて興行不振が続く最近の韓国映画の中、健闘中。

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[映画]殴打誘発者たち/구타유발자들

20:40
ソウル劇場12館
F列16番 6,000W(チケットリンク・パープル会員1,000W割引)
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監督:ウォン・シニョン/원신연
出演:ハン・ソッキュ/한석규、イ・ムンシク/이문식、オ・ダルス/오달수、チャ・イェリョン/차예련、キム・シフ/김시후、イ・ビョンジュン/이병준、チョン・ギョンホ/정경호、シン・ヒョンタク/신현탁
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 声楽家教授ヨンソン(イ・ビョンジュン)は教え子の若い女性インジョン(チャ・イェリョン)を白のベンツに乗せてドライブに行く。途中信号無視で警官(ハン・ソッキュ)違反切符を切られるが反省の色はない。人気のない川べりでヨンソンは下心満々、インジョンも初めはその気だったが、ヨンソンの執拗さが恐くなり車から逃げ出してしまう。
 山中に逃げ込んだインジョンは、二人の若い男(チョン・ギョンホ、シン・ヒョンタク)が男子高校生(キム・シフ)を袋詰めにしているのを目撃。恐ろしくて夢中で歩くうち、オートバイに乗った人の良さそうな中年男ボンヨン(イ・ムンシク)に出会い、近くのバスターミナルまで乗せて行ってほしいと頼む。
 一方、一人取り残されたヨンソンの前に怪しい男たち(オ・ダルス、チョン・ギョンホ、シン・ヒョンタク)が現れる。男たちはバットを振り回し、野鳥を打ち殺す。バイクに積んだ大きな袋の中にはもしやインジョンが? 粗暴な男たちに対処する術を知らないヨンソン。そこへ、インジョンを乗せたバイクを運転するボンヨンがやって来た。純朴な容貌とうらはらに、ボンヨンは男たちのリーダー的存在であるらしい。四人の男たちはヨンソンとインジョンにサムギョプサル(豚の三枚肉の焼肉)を勧め、袋から出した高校生にイジメを加える。成り行き上、ヨンソンとインジョンは他人の振りをし続けるが、男たちは若い女性であるインジョンに目をつけ始め……。
 この映画はたった一つのあるアイディアに支えられている。その「あるアイディア」を効果的に見せるために、延々とカットが積み重ねられる。元々暴力的な映画は苦手だが、この映画の暴力シーンはそれほど抵抗なく見ることができた。それは、この作品の暴力の多くが相手の肉体を傷つける暴力行為でなく「イジメ」だからというのが一つ(イジメの方が肉体的暴力より深刻でないとか許容し得るとか言っているのではない)。またもう一つは、イジメや暴力のシーンが「あるアイディア」を見せるための一種の伏線として描かれているからだろう。
 「あるアイディア」はそれほど斬新なアイディアではないが、見せ方はかなり上手い。ただし、「あるアイディア」をあらかじめ知っている者には、だらだらとイジメシーンの続く作品でしかないかもしれない。知らなかった(気づかなかった)私は最後まで面白く見たし、暴力絡みの映画の割に意外と後味も悪くなかった。
 出演者としてトップにクレジットされるのはハン・ソッキュだが、事実上の主演はイ・ムンシク。多面的で正体の分かりにくい男をうまく演じている。ハン・ソッキュ好演、オ・ダルス怪演。

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