文化・芸術

2009.01.29

[歌舞伎]初春花形歌舞伎 夜の部

 17日に見に行きました。海老蔵をシンに据えた新橋演舞場。
 終演後、地下鉄のホームで電車を待ちながら、ふっと携帯を見たら……三味線の師匠からの着歴が5回も入ってる! 慌てて折り返し電話をかけて、地上へダッシュ。
 結果、豚焼肉を食べながら楽しい時間を過ごすことができました。
 てか、夫婦水入らずのお誕生日にお邪魔してすみません。m(__)m


1月17日(土)16時30分
新橋演舞場
3階A席・2列10番台

「七つ面」
 ほとんど上演されたことのない「歌舞伎十八番」もの。かつて松緑さんが復活させてますが、今回はそれとも違う、実質的には新作です。正直、あまり期待してませんでした。
 ところが、これが面白かった。下手に芝居を作らず、踊りで通したのがよかったですね。海老蔵、踊れるんだ~と感心しました。セリフがないのも良かった理由かも。

「恋飛脚大和往来」封印切
 これまた期待を上回る出来でした。獅童の忠兵衛、悪くない。獅童の若さ、未熟さがそのまま忠兵衛の人物像に重なって、役にうまくはまったと思います。今この時だけの特権です。
 梅川の笑三郎、猿弥の八右衛門と、役者の粒が揃っていて、全体のアンサンブルがうまくまとまってました。むしろ、門之助のおえんがちょっと物足りない印象。
 この演目、誰が指導したのでしょう? ご存じの方、教えて下さい。

「弁天娘女男白浪」浜松屋・勢揃い・極楽寺屋根・同山門・滑川土橋
 長いです。「勢揃い」で打ち出してくれてよかったです。海老蔵ファンは納得しないかもしれませんが。出さなければ分からなかったことでしょう。
 「浜松屋」は、まぁこんなものかと。10年振り2度目というのが意外でした。何度か見てるような気がしてたので。この人の弁天は何となく想像がつく、ということなんでしょうかね。
 左団次、さすがの貫録です。この人が舞台に出てくると、その周囲だけ「歌舞伎座」の雰囲気が漂います。

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[歌舞伎]初春花形歌舞伎 昼の部

 これまた、当初の切符は風邪でゴミ箱行き。再度入手しての観劇でした。3階席が取れず、意に反して1階にて。


1月25日(日)11時
新橋演舞場
一等・1階17列30番台

「二人三番叟」
 この演目には思い入れがあります。その昔、猿之助・段四郎で見た「二人三番叟」は息つく間もない面白さで、私は歌舞伎舞踊の魅力に開眼したのでした。パンフレットの上演記録によれば、昭和60年7月歌舞伎座の公演です。
 今回の右近・猿弥コンビによる「二人三番叟」、とても注目してました。この演目、歌舞伎でも日舞でも、体つきと所作がそっくりになる親子・兄弟で踊るのが一般的です。他人同士の二人、猿之助・段四郎の血縁でない二人が、猿之助・段四郎兄弟の芸をどう継承してくれるのか。ちょっと大げさに言えば、澤瀉屋の芸の行方を占う演目でした。
 で、どうだったかと言えば、素晴らしいの一語に尽きます。よくぞここまで、と思いました。体型も動きも違う二人がぴったり合わせて踊る様子を見ながら、どれほど稽古を積み重ねたことかと思いを馳せてしまいました。
 二人があまりに真摯なので、お客さんが笑えなかったのが難と言えば難。でもこれは上演を重ねれば自然と解決するでしょう。そのためにも、再演、再々演を期待してます。必ずまたやって下さい。お願いです。

「口上」にらみ
 「にらみ」は怖くて大きくて、ちゃんと市川家の芸になってました。
 江戸時代、団十郎に睨まれれば瘧が落ちる、と言われてました。最近では一年間風邪をひかないと言ったりするらしいです。正月早々にまずこれを見るべきだった、と39.4度の熱が下がった今、思ってます。

「義経千本桜」木の実・小金吾討死・すし屋
 海老蔵がのびのびやってました。セリフは一時期ほど変じゃなかったです。でも、「木の実」で、江戸の世話物の匂いがぷんぷんしちゃうのがどうも。関西でも義太夫でもなく。
 「すし屋」は、登場人物の身分や格がきっちり表現できてないと成り立たない演目なので……高貴なお方と庶民の輪郭がグズグズになっちゃうと、芝居全体の面白みが薄くなります。

「お祭り」
 この演目、どうして付けたのでしょう? 附祝言?

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2009.01.27

[歌舞伎]新春浅草歌舞伎 一部・二部

 風邪で無駄にした切符をごみ箱に放り込み、再度取り直して行ってきました。浅草公会堂。
 観劇前の先入観。
「一条大蔵譚」…作り阿呆と言えば堺雅人しか思い浮かばない今日この頃。
「一本刀土俵入」…さすがにまだ早いのでは。勘太郎の駒形茂兵衛。
「土蜘」「京鹿子娘道成寺」…このメンバーの浅草でこんな演目が見られるようになるとはねぇ。感慨一入。
 さて実際の舞台は……。


1月26日(月)11時
浅草公会堂
三等・3階へ列11番

「お年玉(年始ご挨拶)」
 勘太郎のご挨拶。9年間の浅草歌舞伎を振り返り、パンフレット・イヤホンガイド・第二部・二月松竹座と諸々の宣伝をして、そつのない優等生的ご挨拶。もうちょっと面白い話が聞きたいです。

「一条大蔵譚」曲舞・奥殿
 曲舞の場面は初めて見ます。猿之助で見てるかもしれないけど、記憶にない。面白い場だと思いますが、基本的に「奥殿」と趣向がかぶるのが今ひとつ。役者としては為所が多くて、やり甲斐があるのでしょうね。
 亀治郎の一条大蔵卿、もっと愛嬌が欲しいなぁ。愛嬌がないと、作り阿呆を続けざるをえない悲哀も感じられないのです。
 お京の松也、大人の役者になってて、嬉しい。

「土蜘」
 勘太郎、気合十分、迫力十分の智籌でした。床踏む度に、また怪我するんじゃないかとひやひやでしたが。3階だったので智籌の出が確認できなかったのが心残りです。


1月26日(月)15時30分
浅草公会堂
3等・3階ひ列39番

「お年玉(年始ご挨拶)」
 七之助の挨拶。9年前初めて浅草歌舞伎に出た時、客席を見たら2階席に20人ぐらいしかお客さんがいなくて、自分自身を知った。恥ずかしいことに、それまでは先輩や父親と一緒の舞台で満員の客席を当然と思っていた。それから頑張って、有難いことに段々お客さんも増えて……という話。よい話です。その気持ちを忘れず頑張って下さい。

「一本刀土俵入」
 勘太郎の駒形茂兵衛。序幕、ぼそぼそつぶやくセリフに驚きましたが、聞いてる内に馴染んできました。空腹の情けない取的、はまってました。大詰の颯爽とした侠客ぶりはカッコよすぎという気もします。侠客としてこれだけモノになるなら、相撲取りとしても成功してたんじゃないの……と見えてしまって。
 亀治郎のお蔦、本質的には情のある女が投げやりに生きてる感じがよく出てました。序幕でベタベタしないところがよかったです。大詰で、茂兵衛のことなんか忘れちゃってるのが納得行きます。

「京鹿子娘道成寺」
 七之助の道成寺。行儀よく丁寧に踊っていました。それ以上でも以下でもなく。精進あるのみ、ですね。

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2009.01.15

[文楽]初春公演・昼夜

 松竹座の歌舞伎に続いて、国立文楽劇場の文楽に行きました。こちらは年に2回、関西のお友達とミニ観劇会を開いてまして、2001年から続いてるので、今年で9年目。
 来年まで無事に続いたら、10周年記念のお祝いをしようかな。


1月11日(日)11時
国立文楽劇場

「花競四季寿」
 呂勢をたっぷり聴けて満足。

「増補忠臣蔵」
 津駒、まっすぐな語り口で好感を持ってる太夫さんなのですが、今回ふっと、ひょっとしたらいつか大化けするかも、と思いました。ぜひとも大化けして下さい。

「曲輪文章」
 前日、松竹座で見た演目。忘れない内に見比べられて面白いです。基本は同じなんですけど。
 勘十郎の伊左衛門、あまり見たことない役柄のような気がします。


1月11日(日)16時
「新版歌祭文」
国立文楽劇場

 今回は「座摩社」「野崎村」「油屋」の通し上演ですが、各段のつながりが分かったような、分からないような。「油屋」の中を病気休演の文字久に代わって咲甫が熱演。先月に引き続き、頑張ってますね。「飯椀」のチャリ場で、勘十郎が遣う小助の自由自在な動きが楽しかったです。

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2009.01.14

[歌舞伎]正月松竹座・昼夜

 道頓堀の松竹座へ行ったのはちょうど「えべっさん」の日で、松竹座の前、戎橋南詰は宝恵籠の出発を見ようとする人たちで大賑わいでした。


初春大歌舞伎
1月10日(土)11時
松竹座
3階A席
「義経千本桜」鳥居前
 誰の何が見どころなんでしょ? 正月最初の演目がなぜ「鳥居前」?

「良弁杉由来」二月堂
 すみません。ほとんど寝てました。この演目、苦手です。っていうか、ここは所作事を挟むべきところでしょ。なぜ「二月堂」?

「廓文章」吉田屋
 「吉田屋」は松嶋屋で見ると何て面白いお芝居だろうと思うのですが……。「七百貫目(しっちゃっかんめ)」の借金って、今のお金に換算したらいくらぐらいなんでしょうねぇ。

「お祭り」
 孝太郎、踊りがうまくなったような。娘役より女房・年増の方が似合うのかもしれません。


1月10日(土)16時
松竹座
3階A席
通し狂言「霊験亀山鉾」

 平成14年10月の国立劇場で、ほぼ同じ形で通し上演してます。韓国在住時の舞台ですが、なぜかしっかり見てまして、こんな感想を記してました。「脚本を練り直して、もっとテンポよく、もっと南北らしくなればなおよいのですが、再演は難しそうですね~。」

 「難しそう」と思った再演、前回より「テンポよく」なってました。面白かった。「南北らしく」は難しいですねぇ。特に仁左衛門さんは、何をやっても格好よくなってしまう役者さんなので。南北の芝居の登場人物って、もっと泥臭く人間臭い人たちなのだろうと思うのですけれど。

 周囲の様子を見ていると、お客さんたちの反応は真っ二つ。「お正月らしい華やかでおめでたいお芝居」を期待してきた年配のお客さんたちには不評。「最近興味を持ち始めた『歌舞伎』」を見に来たアラサーのお客さんたちには好評。「意外に分かりやすかった」「結構面白かった」らしいです。

 正月になぜ南北?とは私も思いますし、1月の本水は見てる方も寒いです。それでも、こういうお芝居を松竹座にかける意義はあると思います。問題は、松竹座の歌舞伎公演が正月・七月(+α)にしかないという点です。季節感を大切にしようと思ったら、正月狂言と夏狂言しかできない、ってことですから。これは南座・博多座も同じですね。

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2008.12.28

カンガンスルレ/강강술래

 自分のための備忘録としてポストしておきます。

 

来年9月、東京で「カンガンスルレ」公演実施へ

 
第2回韓・中・日文化担当大臣会議で韓国側が発表

  来年9月、全羅道に伝わる民俗舞踊「カンガンスルレ」(重要無形文化財第8号)の公演が東京で行われる。壬辰倭乱(豊臣秀吉の朝鮮侵攻)のときに始まった 「カンガンスルレ」が日本で演じられるのは初めてだ。済州道で行われた「第2回韓・中・日文化担当大臣会議」に出席した柳仁村(ユ・インチョン)文化体育 観光部長官は25日、「2005年以来毎年、韓国だけで行われてきた“韓日交流おまつり”を、来年9月に東京で開催する。この中で、在日韓国人や日本人も 参加し、一緒に踊れる“カンガンスルレ”を上演する」と述べた。

 柳仁村長官はまた、「輪になって手を取り合い、声を合わせ、ぐるぐる回る“カンガンスルレ”は今や、韓国と日本の協力を象徴する踊りだ」と語った。

(以下略)

 (朝鮮日報 web 日本語版 2008年12月26日付記事より)

 「カンガンスルレ」は江陵端午祭で一度見ているような気がするのですが、記憶が曖昧です。

 韓国にいてもなかなか見る機会がない芸能ですので、東京公演実現の暁にはぜひ足を運びたいと思ってます。

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2008.12.27

[歌舞伎]12月歌舞伎座・昼の部

 今年の芝居納めです。芝居初めと芝居納めは何をしようか毎年迷うのですが、今年は三津五郎の「娘道成寺」で締めることにしました。その後に「佐倉義民伝」というのがちょっとどうかとは思ったのですけれど。

12月26日(金)11時
歌舞伎座
1階17列11番(三津五郎の「娘道成寺」目当てで1階席!)

「高時」
 話と演出が面白い芝居なので、それなりに楽しく見ました。梅玉の高時が暴虐非道な人物に見えないのが難。高時がとことん嫌な奴でないと、烏天狗に化かされても面白くないんですよね。
 烏天狗たちの跳躍はすばらしかったです。千秋楽、今年最後の芝居とあってか、大奮闘でした。

「京鹿子娘道成寺」
 立役の三津五郎が踊る「娘道成寺」、当代一の踊りの名手三津五郎が踊る「娘道成寺」、坂東流家元の三津五郎が踊る「娘道成寺」。今月一番どころか、今年一番の見ものと言っても過言ではない舞台。その期待に違わず、素晴らしい踊りでした。

 道行が常磐津なのを始め、いつもの「娘道成寺」とは少しずつ演出や衣裳が異なります。「言わず語らぬ」の引き抜きの玉を自分で抜く人なんて、初めて見たような気がします。道行の出で、小走りに駆け出てくるのも、「梅さん」で下手から出てくるのも、新鮮。最後の鈴太鼓で最初の赤の着付に戻るのも意外でした。

 踊りは最初から最後まで楷書の芸。最近の「娘道成寺」はスピード感溢れるダイナミックな踊りが流行?ですが、三津五郎の「娘道成寺」はひたすら行儀よく踊ってます。両足の膝頭が常にくっついている踊り。鈴太鼓でノッていくところも、バタつかず、ゆったり品よく踊ります。
 曲が進むにつれ、幼い頃から日舞のお稽古をしているどこぞのお嬢さんが踊っているとしか見えなくなりました。九代目もそう言われてたんでしたっけ?

 踊りの舞台が生み出す夢のような時間。雀右衛門・富十郎の「二人椀久」以来でしょうか、久しぶりに出会えた至芸でした。

「佐倉義民伝」
 幸四郎の宗吾がニンにはまり、よい出来でした。子供たちとの別れの場面では、客席からすすり泣きの声が。
 「東叡山直訴の場」で、宗吾の訴えが無にならないことを暗示して幕。悲劇の中の光明を見て、ほっとした気分で今年の芝居見物も幕となりました。


 来年の芝居初めの予定はまだ決まっていません。一年の芝居見物の先行きを占う初芝居、何を見ることにしようかな~。

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2008.12.26

[演劇]グッドナイト スリイプタイト

 運良くチケットを入手することができて、行ってきました。三谷幸喜さんの新作です。

「グッドナイド スリイプタイト」
12月21日(日)14時
PARCO劇場
作・演出:三谷幸喜
出演:中井貴一、戸田恵子

 いや~、面白かったです。2時間素直に楽しめた舞台。

 中井貴一・戸田恵子演じる夫婦は、出会って30年、離婚が決まって妻が部屋を出て行くことに。妻が自分の荷物を運び出そうとしている場面から始まり、映画のフラッシュバックのように二人の過去を行き来しながら、離婚に至った夫婦の30年間を描き出して行きます。新婚旅行の思い出、妻の仕事、夫の仕事、お互いの交友関係、子供……。

 過去の、その時々のエピソードがリアル。自分のことで手いっぱいで相手への思いやりに欠けたり。相手に合わせて無理したり。気遣いのつもりの遠慮が相手の無理解を生んでしまったり。あるいはちょっとした記憶違いから起こる諍い。夫婦の間で起こりうる、あらゆるディスコミュニケーションが詰め込まれています。そして、もどかしさやいらだちを感じるより先に、笑えちゃう。
 30年という時間を自由に行き来する構成なので、夫婦二人の年齢は場面ごとにころころ設定が変わるわけですが、中井貴一・戸田恵子はそれぞれの場面の年齢に違和感を感じせない好演。
 舞台中央の2つのベッドの間の距離が場面によって近づいたり離れたりするのも、全体にシンプルな舞台装置の中では面白い演出でした。

 それにしても。子供のいない夫婦で、飼ってるペットの名前が「太郎」って。ドキッとするじゃないですか。30年にはまだ間がありますが。

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2008.12.25

[歌舞伎]遠山桜天保日記

 国立劇場へ行ってきました。
 クリスマスイブに歌舞伎見物ってどうなのよ……と思いつつ。

「遠山桜天保日記」
12月24日(水)11時30分
国立大劇場
出演:尾上菊五郎、中村時蔵、尾上菊之助、尾上松緑、市川左団次、沢村田之助、他

 竹柴其水の作品の半世紀ぶりの復活改作。原作を生かした上で「遠山の金さん」のイメージを保って、肩の凝らない芝居に仕上がってました。菊五郎劇団のお遊びも健在。

 菊之助。役柄にふさわしい声とセリフ回しがよく、着実に力つけてますねぇ。十月歌舞伎座「十種香」の勝頼、「直侍」の三千歳もよかったし。女方と若衆の両方をきっちりこなせる役者になってきたのが嬉しいです。

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2008.12.20

[能]閑能会 清経・海士

 昨日は能楽堂へ行きました。

「閑能会」
2008年12月19日(金曜日)16時30分
観世能楽堂
能「清経」関根祥六、狂言「福の神」三宅右近、能「海士」関根祥人
(他に仕舞・舞囃子などもありました。番組表を受取そびれて。)

 「清経」は人気曲でしばしば上演される演目です。私も、昨年6月18・19日、日経能楽鑑賞会で浅見真州(観世流)、友枝昭世(喜多流)のシテで見てます。この時は、「恋之音取」「音取」の小書付き。二日連続で見て、おシテさんによってこんなに違うものかと感心しました。
 で、今回、関根祥六の「清経」。浅見真州、友枝昭世ともまた異なって、「幽玄」という言葉がぴったりでした。友枝昭世も幽玄ではあったのですが、友枝昭世は表現としての幽玄、関根祥六は存在自体が幽玄、とでも言いましょうか。幽界から来た、この世のものとは思えない「清経」という存在が目の前に存在している幽明相交わる時を堪能。

 狂言「福の神」はちょうど今の季節にぴったりの演目。楽しく拝見いたしました。ただ、9月に国立能楽堂開場25周年記念公演で茂山千作の「福の神」を見ちゃってるんですよね。あの福々しさは別格でした。

 関根祥人の「海士」。今年10月に見た野田秀樹の「The Diver」がこの「海士」をモチーフの一つにして作られた作品だったのですが(タイトルの「The Diver」=「海士」ですよね)、どうも今ひとつ消化不良の感を免れず。そんなことを思い出しながら見た関根祥人の「海士」は、鮮やかでした。オリジナルは奥が深いです。動きの一つ一つが面白い。この人の演能はどうしてこんなにリアルなのでしょうか。面かけてるのに、直面のように見えてくるのが本当に不思議です。

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